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ミステリの祭典

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コンビニ人間

作家 村田沙耶香
出版日2016年07月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 ことは
(2024/05/26 02:04登録)
ジャンルを問われたら、ミステリでなく文芸作品と答えるが、面白さのポイントとしては、早川の異色作家短編集に近い感じなので、そのあたりのジャンルを楽しめるミステリ読みには楽しめる気がする。
ラストの取り方は人それぞれになりそうだが(取り方によって、読者の感性のほうがみえてくる感じで面白そうなのだが)、私は「語り手である主人公が覚醒した」と感じた。

No.2 7点 みりん
(2023/11/26 13:26登録)
中編くらいのボリュームなので1時間半ほどで読み終わります。

【ネタバレします】




「現代社会は縄文時代のまま変わっていない」「社会というムラにおいて役割を果たさないものは忌み嫌われ、排除される」
コンビニというムラでは自らの役割を全うする働き者の主人公。コンビニの声を聞くために生まれてきたのだと断言し、"普通"の人間から求められる将来・"正常"な社会と決別するラストはもはやホラー。ミステリーではないが面白かった。非ミステリには5点つけることが多いけど、軽く衝撃だったので7点に変更。

No.1 7点 メルカトル
(2021/10/21 23:14登録)
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

驚愕、どんでん返し、ワクワクドキドキ等を読書の際にお求めの方には決してお薦めしません。取り敢えず純文学というか文芸作品ですからね。しかし、ホラー寄りの一面も覗かせており、考えようによっては恐ろしいとも言えます。どの企業の面接にも落ち、唯一採用されたのがコンビニの店員で、同じ店でアルバイトする事18年、36歳の恵子。通常の感覚とはかけ離れた感性の持ち主で、アスペルガー症候群気味。彼女の一人称で物語は進行します。まあミステリでは結構ありがちな設定ですね。妹の教えに従い、何とか周囲と溶け込んで仕事を熟す恵子ではありますが、時々心の中でなぜ他人はこんな事を考えているのだろうか、みたいな疑問を当たり前の様に持ちます。つまり自己と他者との乖離がどうしても理解できないのです。しかし、それを押し隠しむしろ店員で優秀な人材として周囲から認められています。

作品としてはまず起承転結が確り描かれているのが印象的です。起承までは主人公に共感できないし、さして面白さも感じませんでした。それが転の部分、つまり新入り店員の白羽が入って来てからおっ?て感じで変化が生まれます。
この二人の共生関係が不思議な空間を生み出し、ある転機が訪れます。果たして恵子はどんな選択をするのか・・・それは読んでのお楽しみという事で。
世の中には色んな人がいます、生きていくのが苦痛な人も、食べるのにやっとな生活をしている人も、男女関係で悩む人も一度読んでみて。自分の中で何かが変わるかも知れませんよ。

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