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ミステリの祭典

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蝶として死す 平家物語推理抄

作家 羽生飛鳥
出版日2021年04月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 7点 makomako
(2026/01/22 19:59登録)
平頼盛が探偵役を務めていることにまず驚きました。一族同士で殺しあってしまう源氏に対して、ある意味仲良し一族の平家の中では偏屈で浮いていて、一族みんなが滅びても命乞いばかりして生き延びたと平家物語では書いてあったように思っていました。
こういった切り口で見てみると頼盛も見直さねばいけないのかなあ。人間の評判なんて言うものは語る人にやって大きく違うものなんですね。
このお話は平家物語というかなり古い物語から本格推理を導き出したという実に興味深いものでした。推理の内容としては私としてはやや物足りないようにも思いましたが、こういった方面の推理小説はほとんどなかったので、次の作品を期待しております。

No.2 8点 ALFA
(2024/08/28 08:15登録)
平安末期から鎌倉へ、激動の時代を舞台にした歴史ミステリー。
ミステリーズ!新人賞の「屍実盛」を含む五話の連作短編だが、ひと続きの長編としても完結している。

主人公は平清盛の異母弟、平頼盛。平家滅亡後も源頼朝の信頼を得て宮中で重きをなした複雑な人物である。
ここでの頼盛は、優雅でしたたかで検視に長けた面白い人物像。

第二話以降は清盛の死後なので、翌年に刊行された「揺籃の都」とは時系列が逆になっている。初めて読む場合はそちらからの方が馴染みがいいかもしれない。
精緻な時代考証にロジカルな謎解きを織り込んだ傑作。

No.1 8点 HORNET
(2021/09/11 12:23登録)
 時は平安時代末期。最高権力者・平清盛の異母弟である平頼盛は、朝廷の職を剥奪され、不遇をかこつていた。自らが率いる一家郎党を守るためにも、政界で再び浮上しなくてはならない。そんな折、清盛が都中に放った使いの者の一人が殺害されたとの報せが入る。一族きっての知恵者と言われる頼盛は、その下手人を突き止めることで、朝廷復帰への足掛かりにしようと目論むが―
 平家全盛の平安末期から、源氏によって滅ぼされるまでの時代を、類まれな頭脳を武器に生き抜いた、一人の平家武士の物語。

 史実を下敷きとし、当時の社会状況、文化風俗、武士の生き方を優美に描きながら、その舞台設定を生かした謎解きが巧みに仕組まれていて非常に面白い。謎は歌、香(こう)、薬などの時代的な道具立てにより彩られ、動機には武士の価値観が通底する。
 歴史ミステリの魅力を体感できる快作。

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