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ミステリの祭典

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塩沢地の霧

作家 ヘンリー・ウエイド
出版日2003年02月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/07/25 01:59登録)
(ネタバレなしです) 1933年に発表されたシリーズ探偵の登場しないミステリーです。本書は「半倒叙」と評価されることもあるようですがそれはいかにも犯人らしい人物を描きながら肝心の犯行場面を直接描写しないことによって犯人当て要素も残しているからのようです。もっとも有力な犯人候補が意外と少ないため犯人当て本格派推理小説としてはあまり面白くありません。物語としては良く出来ており、事件が中盤まで発生しないながら筋運びがだれることもなく結末の印象度も高いです。ところで国書刊行会版の巻末解説では結末のアイデアが某有名ミステリーを先取りしているかのように誉めていましたが、よく考えるとその某ミステリーの方が本書より先に出版されているではないですか!

No.1 5点 kanamori
(2010/04/24 15:18登録)
作者は英国黄金時代の代表作家の一人ですが、比較的地味な作品が多く、日本での人気はいまいちのようです。
ジョン・プール警部というシリーズ探偵を創作していますが、本書はノンシリーズで、海岸べりに住む画家夫婦と引っ越してきた人気小説家が織りなす殺人事件を描いています。
半倒叙形式で、登場人物の心情と北海沿岸の荒涼とした情景や捜査活動を丁寧に綴っている点は読めるんですが、真相の隠蔽方法が稚拙で謎解きミステリとしては成功作と言えないと思います。

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