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ミステリの祭典

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カインの娘たち
モース主任警部シリーズ

作家 コリン・デクスター
出版日1995年10月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 4点 レッドキング
(2021/11/27 08:32登録)
デクスター(長編)第十一作。前作から分量長めのモース警部後期シリーズ。ミステリの肝は、相も変わらずのアリバイトリック・・凶器盗難と殺人の時間トリック見事・・だが、小説としては、主役モースと三人の女たち・・余命僅かな女教師、DV被害者妻、屈折した娼婦娘・・の情念劇の方が骨格。元々、たそがれ感あふれるモース警部だが、心身ともさらに深く暗き黄昏へ近づき・・・。

No.3 7点
(2019/08/21 08:06登録)
 モース主任警部が捜査を引き継いだ、大学の元研究員の刺殺事件は意外な展開を見せた。容疑者と思われた博物館係員の男が行方不明となり、数週間後に刺殺体で発見されたのだ。凶器は博物館から盗まれたナイフだった。二つの殺人に何か関係が?やがて、殺された男に恨みを持つ三人の女の存在が浮かび上がるが、彼女たちには鉄壁のアリバイが!(内容紹介より)
 「モース警部、最大の事件」に引き続き発表された、シリーズ第11作。1994年発表。簡にして要を得た説明なのでそのまま抜粋しましたが、こうなるのは本書も3/4を過ぎたあと。作中でも「事件はスピーディーな進展を見せてはいない」などと書かれてしまいます。二部構成もあまり生きてはいません。
 ではつまらないのかというと決してそんな事はなく、盗難品のナイフを使ったアリバイ・トリックはかなり考え抜かれたもの。体調のはかばかしくないモースも、いつもの仮説スクラップビルドとまではいきませんが時折光る推察を見せて引っ張ります。
 ただかなり厚めではあるので、ミステリとしての興味だけで読むと展開が遅いのはキツい。中盤付近で吐血したモースが緊急入院したり、ラストで熱い告白を受けるなど、ドラマ部分の派手さに食われた感もあります。まあこの主人公は人間臭過ぎて、倒れたからといって突然生活態度を改めたりなどしないのですが。
 文章もますます充実しており、むしろ熟成過程。じっくり読めば、そこまで低評価に甘んじるような作品ではないと思います。モースが引退を示唆するなど、明らかに畳みに来ているのがマイナスに働いたのかな。主任警部が万全の状態でガンガンのたうち回っていれば、また評価も違ったでしょう。採点は少し甘めの7点。

No.2 5点 ボナンザ
(2016/01/30 23:44登録)
シリーズの終焉を暗示するかのような一作。
本筋もまずまずだが、モースの肉体・精神両面での衰えが印象的。

No.1 5点 了然和尚
(2015/10/27 11:08登録)
ミステリーの内容よりも、モーズの病状の方が印象に残ります。年齢と生活ぶりが他人事とは思えないので。謎の構図は意外と深く、単純なトリックではないのですが、うまく生きていない気がして残念です。それにしてもデクスターの作品は(前にも書いた気がしますが) 死が頻繁に出てきます。事件による死以外に、自殺、事故死、病死など出てきて、作品を暗い雰囲気にしています。ホームズと並ぶ人気というのがよくわからないですね。テレビシリーズの影響なんでしょうか?(こちらは見たことないです)

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