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ミステリの祭典

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宇宙の戦士

作家 ロバート・A・ハインライン
出版日1967年01月
平均点4.33点
書評数3人

No.3 2点 レッドキング
(2024/10/05 22:19登録)
「エンダーのゲーム」の事書いてて、この作品も思い出した。こっちは露骨に、十字軍由来の異教・異端壊滅衝動に彩られた宇宙戦争SFだった。男女および民族間の平等は達成されながら、軍歴を持つか持たないかで、ハッキリ権利が区別される未来世界で展開する、蜘蛛の様な宇宙生物・・たぶん、異教徒・有色人種・東洋人等がイメージされている・・との死闘。30年後に映画化(「スターシップ・トゥルーパーズ」)された際の、巨大昆虫風生物の方は、怪獣映画ビジュアル的に面白かった。

No.2 7点 虫暮部
(2022/01/30 12:07登録)
 ハインラインは本作を書いたら右翼と言われた。さもありなん。
 (小説で得た知識によれば)“部外者には共感しがたい価値観を基準にした縦社会” と言う点で、軍隊・警察・暴力団・宗教団体・体育会系は似ていて、書き方が上手ならそういった“異界”を泳ぐのは面白い。戦争モノはあまり好まないが、SFが混ざるとサラッと読めるな。
 ミリタリーSFとしてのテクノロジー設定が、近年の作品(例えば林譲治『星系出雲の兵站』)と並べてもさほど遜色が無いのでびっくり。新訳の語彙のおかげ? いや、コレは逆で、昔も今も戦争は或る程度泥臭く描いたほうが受ける、と言うことか?
 最後の方にちょっとだけ登場する “特殊能力者” は余計だと思う。世界設定が揺らぐ。

No.1 4点 クリスティ再読
(2021/06/03 21:59登録)
評者ミリ趣味ってまったく、ない。宇宙戦艦とか関心ゼロだもの。ホールドマンの「終りなき戦い」だとベトナム後遺症小説の一つとして、怨念をファンタジーに昇華した面白さがあるわけだが、「終りなき戦い」と併称されるミリSFの本作はというと....う~ん、夜郎自大というのではなかろうか。アメリカ人らしいといえば、らしいが、アメリカ人らしい無神経さもいろいろ感じる。
いきなりの戦闘描写で始まるわけだけど、敵に回りかねない中立国に奇襲をかけて、散々に工場など生産施設や都市機能を破壊する、暴力的デモンストレーションを一方的に行うもの。政略的恫喝が目的である。いやこんな破壊活動、軍人としてそもそもカッコイイ手柄なのだろうか?直接の殺人描写こそ控えめだが、きっと民間人が多く犠牲になったことだろう。
こうしてみると、「汝殺すなかれ」のタガを外して市民を戦士に変える教育をするのが「軍隊」だ、と言っているようなものだ。それなりの大義がある第二次大戦ならともかく、普通のアメリカ人にとって大義を見つけられないベトナムで、この「教育」が暴走するさまをキューブリックが「フルメタル・ジャケット」で描いたわけでね...で作者の理想が行きつくところは「戦士の共同体による統治」。いやいや、民主主義が機能するは、被支配者がそれなりに支配に同意するから、という理由のわけで、それが「正しい」わけでも「効率的」なわけでもないのは承知の上の話なんだけね。
なので内容に共感する部分はほぼ、なし。小説としても約半分が訓練で、後半が実戦経験と士官学校に入って士官になる話。それでも前半はいろいろ悩むシーンもあって、ぼちぼち。後半は退屈。後半の方が兵隊としての実戦と見習い士官での戦闘で手柄を上げた話だから、派手な面白さがなきゃいけないのだけども逆。敵宇宙人が蜘蛛型で面白味がないのが原因か。
まあ、SFというよりも、架空世界を借りて冷戦期アメリカ人っぽい自己中心的な帝国主義を垂れ流した「架空戦記」みたいに読むべきなんだろう。SFってミステリ以上に時代時代の風潮やらイデオロギーがダダ漏れするジャンルのようである。

(本サイトでストライクでない作品で、ケナすのはどうか..とホントは評者も思ってます。ごめんなさい。)

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