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ミステリの祭典

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悪夢街の殺人
弥生原公彦シリーズ

作家 篠田秀幸
出版日2003年08月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 4点 虫暮部
(2025/01/03 11:32登録)
 鬼熊事件の異様な迫力、集団水難事件の不可解さ、凄い! と思ったら、これらは現実に発生した事件、を題材にしたドキュメンタリー作品、を改変してフィクション化したもの。殆ど他人のネタじゃないか。それじゃ駄目だよ。
 それ以外の、語り手の面前で進行する出来事は、描写が全体的に硬い。心霊現象とシリアル・キラーがあまり絡み合っていないので、主題を二本立てにする意味が希薄。
 “人間消失” は、事前の準備が必要である反面、当日のポジションは犯人がコントロールしたわけではないから、かなり幸運頼み。しかも結果的に容疑者を限定する働きをしているビミョーなトリックだ。

No.2 6点 測量ボ-イ
(2017/08/04 20:18登録)
この作者の作品を読むのは久々。内容はまずまず。
「読者への挑戦」はいつも通りですが、今回は犯人推理の手掛かりが
細かすぎるのがやや不満。
この作者の犯人設定は僕なりの「ある特徴」があるのではと考えて
いて、そこから犯人を推理しましたが・・・ハズレでした。
なかなかうまくいかない(泣)。

No.1 6点 nukkam
(2017/01/01 23:10登録)
(ネタバレなしです) 2003年発表の弥生原公彦シリーズ第7作です。これまでの作品でも色々な要素を盛り込んでいますが、本書ではサイコキラー連続殺人を起こして犯罪プロファイリングによる犯人像分析に加えて音響分析や映像解析なども織り込んだ、いかにも現代的な犯罪と捜査を描いていますがその一方で呪いのビデオや古代の犬神伝承なども絡ませて「怖い小説」も意識しているようです。とはいえ小学生女子ばかり次々に殺されるという異常事件を扱いながらも被害者側の恐怖描写や生々しい残虐描写の類はなく、ホラー小説を期待する読者には物足りないと思います。あくまでも捜査側の描写に重点を置いて「読者への挑戦状」を挿入した王道的な本格派推理小説として鑑賞すべき作品であり、このシリーズはそれでいいと思っています(私がホラー小説が苦手というのも理由ではありますけど)。第3部第3章での弥生原レポートで実に複雑に入り組んだ事件であることが要約されていますがその割には意外と読みやすく、ごった煮気味な印象だった初期作品に比べるとプロット整理に進歩を感じます。

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