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ミステリの祭典

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パリのアパルトマン

作家 ギヨーム・ミュッソ
出版日2019年11月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 レッドキング
(2024/11/24 06:33登録)
これもまた、先日このサイトで紹介されて興味を持って。芸術(=焼却)に死んだ天才画家の残した家に、偶然に同居するはめになった二人・・破滅衝動を持つアル中寸前の劇作家と、不妊治療にもがく元刑事の女・・の男女。画家の遺作を求める二人の「捜査」が、画家の妻子を巻き込んだ悍ましい事件の真相に繋がって・・・。
トマス・クック以外に、文学とミステリ共に満足させてくれる作家に出会えるとは。フレンチミステリ、とかく、ミステリ以前に、オシャレにニヒルな「ブンガク」してても、ミステリ度合がいまいち・・ポール・アルテみたいな例外ともかく・・のシロモノだが、これ、トレビアン。

No.2 7点 YMY
(2024/11/18 23:01登録)
舞台はクリスマス間近のパリ。厭世的で人間嫌いの劇作家の男と心身共に傷ついた元刑事の女が、心ならずも同じアパルトマンで暮らすことになる。そこは天才画家が遺したアトリエ。
急逝したコンテンポラリー・アート界の寵児が遺した未発見の遺体三点を巡る、美と愛と創造と破壊の物語であると同時に、父性と母性の物語でもある本書は、登場人物の屈託と罪悪感、そして自己救済を望む心が事態を動かし、邪悪な存在を暴き出し、思いもよらない結末へと至る。
重めのテーマを核としながら、愛とユーモアに富んだ読後感の良いエンターテインメントに仕上げているのが作者らしい。

No.1 7点 HORNET
(2021/05/09 13:32登録)
 アメリカの劇作家・ガスパールは、次の戯曲の執筆のため、クリスマス休暇はパリの貸家に籠ることにしていた。今回の滞在先は、昨年急死した天才画家・ショーン・ローレンツの元アトリエ。ところが仲介業者の手違いで、マデリンというイギリス人女性と予約が重なっていた。最初は対立した二人だったが、あるきっかけから画家が最後に描いたとされる、未発見の遺作3作を一緒に探すことになる。調べを進めていくうちに、数年前に起きた、画家の息子の誘拐殺人事件にも嫌疑を抱くようになり―

 当初、ダブルブッキングで火花を散らした二人が、次第に手を取り合って捜査を進める関係になっていく様は面白い。天才画家の遺作を探すことで始まったのだが、遺作を発見してから「ショーンの息子は生きている?」という次の謎が提示され、より深いミステリーになっていく展開が良い。後半は、出来事の時系列から真犯人を類推することができたが、思った通りであってもラストまで楽しみは尽きなかった。

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