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ミステリの祭典

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ABAの殺人

作家 アイザック・アシモフ
出版日1979年11月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 4点 ボナンザ
(2020/07/21 19:39登録)
アシモフはやっぱり短編の方が向いていると思う。
話が冗長だし、主人公の性格があれなので事件発生まで我慢するのがしんどい。

No.3 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/04/19 12:55登録)
アメリカ図書館協会(ABA)年次大会の開催中に、新進作家デヴォアが殺され、親交のあった作家ジャストが、自分が約束を守らなかったせいで殺されたのではないかという疑念から、調査を開始し、紆余曲折の末、真相にたどり着く物語。
作者アシモフが実名で登場し、ジャストから本作品の原稿の素案をもらうという設定が面白い。
癖のある人物ジャストと他の登場人物との絡みを織り交ぜながら、軽妙な語り口で話は進んでいくのだが、事件が起こるまでが長く、必要な情報量から考えると、「本当にこんな分量が必要?」、と思わずにはいられない。
面白い真相ではあるが、そこに至るまでの課程がまわりくどい。また、真相の確証となる事実が、ジャストの直感的な気づきの後に確認されるものなので、読者が真相を推理できるような代物ではない。

No.2 6点 E-BANKER
(2012/04/24 22:36登録)
SFの巨匠・アシモフが遺した本格ミステリーの1編。
ABA(アメリカ図書販売)の年次大会を舞台に、作者が実名で登場する(?)珍しい作品。

~アメリカ図書販売協会(ABA)の年次大会で新進作家が死んだ。シャワー室で裸のまま倒れた拍子に頭を打ったらしい。第一発見者の作家・ダライアスは彼を一人前の作家に育て上げた男だったが、部屋の中にごく微量のヘロインが落ちているのを見逃さなかった。しかし、そのヘロインは警察が到着する前に何者かによって拭き取られていたのだ。殺人事件だと直感したダライアスは、独自の調査を始める。アメリカの出版会を舞台に、流行作家の死を巡るさまざまな人間模様・・・~

実にテンポのよい作品。
発表年は1976年と、一昔も二昔も前の作品だが、ウィットに富んだ会話による進行は非常に新鮮で、さすがに並みの作家でないと感じさせる。
主人公で探偵役のダライアスが、事件の関係者との会話の中からある人物のある齟齬に気付き、真犯人に罠を仕掛けるラストは、本格ミステリーならではの「ゾクゾク感」を得ることができる。
作者本人が実名で登場するが、自虐的なキャラにデフォルメされているのはご愛嬌か?
作家に付き物の「ある道具」が事件解決の鍵になるのだが、登場人物の会話の中に伏線がうまい具合に分散されて置かれてあり、それがラストに効いてくる辺りがニクイ。

難を言えば、事件発生までの前置きがやや長く、ちょっと冗長かなぁというのが1つ。
あとは「動機」。あからさまに示されてはいるのだが、真犯人と動機が結びつくという必然性というか連動性に今一つしっくりこないというモヤモヤが残った(→なぜ、真犯人が○○と関係することになったのか、という部分)

まっトータルで評価すれば佳作ということでよいでしょう。
(アシモフもハズレのない作家の1人だな)

No.1 7点 nukkam
(2010/02/15 16:53登録)
(ネタバレなしです) ABA(アメリカ図書販売協会)の大会に作家や出版関係者が参加する中で起こった殺人事件の謎解きを描いた1976年発表の本書はこれはといった特徴は何もないのですが総合点では高く評価できる本格派推理小説です。文章のテンポがよく、登場人物も深い心理描写はないけれどきちんとキャラクター分けされており、ユーモアも過不足ありません。謎解き伏線もフェアに用意されて納得できるものです。ビギナー読者にお勧めできるスタンダードとして最右翼の作品です。

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