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ミステリの祭典

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退職刑事5
旧題『退職刑事4』(徳間書店版)

作家 都筑道夫
出版日1990年01月
平均点3.33点
書評数3人

No.3 3点 nukkam
(2019/11/20 21:39登録)
(ネタバレなしです) 1987年から1989年にかけて発表された8作の短編を収めて1990年に出版された退職刑事シリーズ第5短編集です。なお徳間文庫版は「退職刑事4」というタイトルですのでご注意を。この作者の本格派推理小説は論理を重視した謎解きというのが一般的なイメージだと思いますが、本書でそれを期待するとかなりの失望感を味わうと思います。推理に切れ味がなく、なるほどと納得させる説得力がありません。私の読んだ創元推理文庫版の巻末解説では「あっぱれな反則技」や「奇妙な着想」の作品を持ち上げていますが、もやもや感の強い謎解きのためかまるで印象に残りませんでした。

No.2 3点 E-BANKER
(2012/08/06 22:08登録)
「国産安楽椅子型探偵シリーズ」の定番といえば本シリーズ。
創元文庫版では「5」(徳間書店版では「4」)。

①「落葉の墓」=タイトル名は演歌歌手である登場人物の歌のタイトルからとったもの。切れ味のない「マッタリ」した作品。
②「凧たこあがれ」=本シリーズではよく登場する一昔前の東京(華のお江戸って感じかな?)の風物が味わえるのがまずまず楽しい。というのも、本作の事件は「退職さん」が現職の頃の事件を語って聞かせるというスタイル。
③「プールの底」=とあるホテルのプールの底から赤い血が水面へ浮かび上がる・・・というと何だか不気味な感じだが、真相はいたってのんびりしたもの、っていうかよく分からん。
④「五七五ばやり」=珍しく「俳句」を題材にした暗号ものなのだが・・・面白そうと感じたのもつかの間。これは「落語ファン」でもなきゃ解けんわ!
⑤「闇汁会」=「闇汁」とはいわゆる「闇鍋」のこと。闇鍋の最中に参加者の一人が青酸カリで毒殺されてしまう。フーダニットの面白さが味わえるはずなのだが・・・何か煮え切らない。
⑥「遅れた犯行」=男が殺人犯として自首してくるが、殺したと主張した男は生きていた。ところが3日後、その男が本当に殺されてしまう・・・という謎。プロットは結構魅力的なのだが。
⑦「あくまで白」=状況証拠が揃いいかにも「クロ」の容疑者だが、だからこそ「シロ」という気がしてならない「現職さん」。「退職さん」が見抜いた“弱さの自信”というのが割と面白い。ラストは皮肉が効いてるし・・・
⑧「Xの喜劇」=一応ダイニング・メッセージものなのかな。ただ、何とも面白くない真相だが・・・

以上8編。
うーん。ダメだな。
本シリーズは1~3までとそれ以降でクオリティに大きな差があるように見える。
本作はどれも短編らしいロジックの切れ味もなく、退職さんが「こうじゃないか?」という推理を述べているだけに思えるんだよな。
要はネタ切れってことかな。
(敢えて選べば⑥とか⑦だろうか。あまりお勧めはしないが・・・)

No.1 4点 kanamori
(2010/06/28 18:25登録)
シリーズ第5弾の初出時タイトルは「退職刑事4」。
「健在なり」がシリーズに挿入されて、徳間と創元社でナンバリングがずれています。
このころの作品は、ロジック重視の姿勢が崩れてしまって、人間性などの観点からの「推測」に止まっているのは辛い。

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