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ミステリの祭典

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ビーフ巡査部長のための事件
ビーフ・シリーズ

作家 レオ・ブルース
出版日2021年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 人並由真
(2022/01/06 06:48登録)
(ネタバレなし)
 そのウワサの<アイデアの先例>の実例の方は知らない。まだ読んでない。
 いずれ当該の作家の諸作を読み倒していけば、いつの日か「アア、コレカ……」と突き当たることもあるであろう。

 いずれにしろ、こういうミステリ作家としての茶目っ気はキライではないが、このアイデアは悪い意味であまりにも汎用性が高すぎて、特にこの事件、このストーリーと密接に融合したもんじゃないよね。極論すれば、登場人物に(中略)を出しておけば、ほとんどどんなフーダニットパズラーでも出来そうな。
 まあ、パズラーミステリのトリヴィア、その話のネタとして読んでおくことには、意味があるとは思います。

No.2 6点 ボナンザ
(2021/08/31 12:24登録)
前代未聞かはともかく、ブルースが舌を出しながら書いているところは目に浮かんでくるとぼけた良作。

No.1 6点 nukkam
(2021/02/25 20:34登録)
(ネタバレなしです) ブルースは第二次世界大戦中の従軍のため作家業を中断していたらしく、1947年出版のウィリアム・ビーフシリーズ第6作の本書が「ロープとリングの事件」(1940年)以来の新作です。ビーフはシリーズ第3作の「結末のない事件」(1939年)で警察を辞職して私立探偵になっているのでタイトルに「巡査部長(Sergeant)」が使われているのが気になりましたがビーフが警察官のふりをするわけでもなく、それでいて作中で時々「ビーフ巡査部長」と特別な理由もなく表記されており、あまり深い意味はないようです。前半はある人物が完全殺人を計画する場面が手記形式で描かれ、扶桑社文庫版の巻末解説ではニコラス・ブレイクの「野獣死すべし」(1939年)との親和性を主張していますが、個人的には半倒叙本格派推理小説と評価されるヘンリー・ウエイドの「塩沢地の霧」(1933年)を思い出しました。このシリーズらしく技巧を凝らした謎解きですがビーフが「全探偵小説を通じて、こんなことは前代未聞だ」と自慢しているのには異議ありと感じる読者もいるでしょう。巻末解説ではアントニー・バークリーに前例ありと説明しています。ネタバレにならないように書くのは難しいのですがバークリーは逆転勝ち(或いは逆転負け)を狙ったようなところがあり、一方で本書では同点優勝を狙ったように感じられ、そこがユニークではありますけど「前代未聞」と誇張するほどのインパクトはないように思います。

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