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ミステリの祭典

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病弱探偵 謎は彼女の特効薬

作家 岡崎琢磨
出版日2017年07月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 まさむね
(2020/11/22 21:54登録)
 病弱で学校を休みがちな高校生・貫地谷マイ(患者+病)が、幼馴染の同級生・山名井ゲンキ(病まない+元気)が持ち込んできた、校内の謎を解き明かすという短編集。探偵役がいつもベッドに臥せっているので、「安楽椅子探偵」というよりも「寝台探偵」とでも言うべきか。
 ネーミングを含め、突っ込みたいココロが疼きます。でも、このキャラ設定とラブコメ感からして、実はアレなんでしょ、心の準備はしてますよ、で、最後にどんな反転が…って思っていたら、そのままかい!…というのが個人的な最大の突っ込みどころでしたね。個々の短編のネタとしても軽め。好き嫌いは分かれそう。採点はギリギリこの辺りか。

No.1 5点 人並由真
(2019/11/15 10:02登録)
(ネタバレなし)
「ぼく」こと県立辺留(へる)高校一年生の山名井ゲンキ。ゲンキの隣家の幼なじみで同じ学校の同学年・貫地谷(かんじや)マイは、いつも何かしらの疾病に襲われる体調不良。学校を欠席続きで家でミステリーを読むのが好きな彼女は、ベッドで謎を解くことも得意な隠れた名探偵だった。ひそかに想いを寄せるマイのため、ゲンキは学校の周辺で起きた不思議な事件を、今日も静養中の彼女のもとに送り届ける。
 
 青春ラブコメ+日常の謎パターンの、全6本の連作短編キャラクターミステリ。1話から『進撃の巨人』のパロディコミック『衝撃の小人』(作中のリアルではあくまでシリアスなアクションSF? または活劇ファンタジー? 漫画らしいが)が登場する程度にとても敷居の低い作品である。なんつーか、コンビニの看板を「エイトイレブン」と標記して観客を笑わせようとした大昔の劇場アニメ版『タブチくん』を思い出してしまった。

 若者向けのラブコメベース作品という方向性は前提なので、マイの形ばかりツンデレを装ったキャラと二人のバカップルぶりは承知で読むが、肝心のこの手の日常の謎ミステリとしては良くも悪くも普通。全6本のうち、配列的に一部のまとまったブロックに事件関係者への(中略)を狙いとするネタが続いたのはちょっと気になった。個人的には第五話の、校内図書館を舞台にした不自然な貸し出し事案の謎が割と面白い。

 それなりには楽しめるが、なんにせよこの手のものが氾濫している現状なので、その意味ではラブコメ設定で文字通りのベッドディティクティブというネタ以外、特筆する要素が少なめか。
 あとAmazonの文庫版の方のレビューでも言及されているけど、マイがそのエピソードごとに苦しむ病気の描写が適当で通り一遍すぎる。もちろんあくまでラブコメ探偵ヒロインのキャラクター用の記号だから、その部分をしっかり書きすぎて話を重くしてもまったく意味がないんだけど、実際に病気で辛い思いをしている人が読んだらあまり気持ちよくはないだろう。評点は6点でもいいけど、その辺を勘案して一寸厳しめに。

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