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ミステリの祭典

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極上の罠をあなたに
改題・増補版『罠』(短編4本追加)

作家 深木章子
出版日2019年09月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2021/11/27 23:41登録)
(ネタバレなしです) 2019年に4編の中短編を収めて出版された「極上の罠をあなたに」に更に4編が追加されて2021年に「罠」というタイトルで出版された連作短編集です。「極上の罠をあなたに」の4編だけでは締めくくりが中途半端で4編を追加したのは正解だと思いますが、このような後出しの追加改訂版の出版では最初に「極上の罠をあなたに」を買った読者は損な買い物をしたと感じるのではないでしょうか(私は「罠」版を最初に買いましたが)。登場人物のほとんどが悪人で、まさに悪の群像ドラマ風です。悪人たちがある時は結託しある時は対立し、そして邪魔な存在は殺したり殺されたりしています。角川文庫版のあとがきで作者は「謎解きに挑戦してみてください」と書いてますが、推理があってもそれは悪事成就のための推理なので悪だくみに共感しない限りは読者は自分で推理してみる気分にはなれないでしょう。ハードボイルド的な非情の世界描写はよくできているし、連作短編集としてのプロット構成もしっかりしていますけど本格派推理小説よりは犯罪小説要素が強く感じられる作風は個人的には好みに合わなかったです。

No.2 6点 虫暮部
(2021/08/03 12:58登録)
 登場人物が少なくて、捻るならこの人しかいない、って人がやっぱり鍵になっている。そういう意味での遊びの無さが気になった。葬儀社の諸々は面白い。

No.1 6点 HORNET
(2019/11/30 23:42登録)
 「人には頼みづらいが、自分でやるのはちょっと……そんな問題でお悩みのあなた。便利屋を利用してはいかがですか―」そんな文面で届けられるダイレクトメール。うさん臭さを感じながらも、他に頼めるところもなく、悪事を依頼する依頼者たち。P県・槻津市を舞台に繰り広げられる様々な人間の悪意。裏にはさらに裏があり、互いを欺きあう人間模様が底知れず繰り広げられる―

 邪な思いで、便利屋さえも自身の策略の中で利用しようとする依頼者。しかしさらにその上をいく便利屋。そんなこんなで「最終的に盤を動かしているのは誰なのか」みたいな感じになっていくタイプの連作短編集。都市伝説まがいの話ではあるが、一話ずつにどんでん返し的な仕組みもあって、そのへんはさすが深木氏といったところ。
 でも氏の真骨頂である法廷モノに比べると厚みのなさは否めず、エンタメ的なミステリとしてさっと楽しむ類の作品ではないかと感じた。

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