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ミステリの祭典

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座席ナンバー7Aの恐怖

作家 セバスチャン・フィツェック
出版日2019年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ◇・・
(2023/08/27 22:39登録)
飛行機内という狭い空間に、有無を言わさぬタイムリミットを設けるという、物理的な制約と時間的な制約の挟み撃ちで主人公を地獄へと放り込む。その追い込みぶりは終盤まで全く手を緩めない。
とはいえ、単にスリルを煽るだけの小説で終わらないのがいいところ。ラストには小説内のすべての要素が、収まるべきところに収まるように計算され尽くした構成になっている。

No.2 6点 人並由真
(2020/02/17 20:57登録)
(ネタバレなし)
 2017年のドイツ作品。
 この作者は『乗客ナンバー23の消失』に続いて二冊目だが、人間関係の枝葉を広げてストーリーを組立てていく手際では今回の方が面白かった。
 ただし某キーパーソンの意外な過去については、その当時から現時点までそんな事実が隠蔽されおおせたハズはないだろ、警察やマスコミの追求でまず暴かれるよね? という違和感がある。

 とはいえ真犯人はかなり巧妙に隠され、そのためのミスディレクションもうまい(正直、まんまと引っかかった)。
 4~5時間でイッキ読みの佳作~秀作。
 ちなみに牛乳を飲むのをイヤな気分にさせられたことだけは、文句を言いたい(笑)。

No.1 6点 猫サーカス
(2019/08/04 18:48登録)
精神科医のマッツは、出産を控えた娘ネレのいるベルリンへと向かう旅客機に乗り込んだ。機中でマッツの携帯電話が鳴る。相手は、娘を誘拐したと告げ、その解放と引き換えにこの旅客機を墜落させろと命じる。指示された手段は、かつてマッツの患者だった同機のチーフパーサーの心の弱点を突いて、事故を引き起こす事だった。一方、ネレは若い男に誘拐され、廃墟に監禁されていた。出産直前の彼女は、必死に脱出を図る・・・。謎に満ちた極限状況を突き付けて、読者の心をつかんで離さない。物語は空と地上で並行して進み、その中で登場人物たちの過去と、そのつながりが徐々に明かされる。目まぐるしい場面転換の中に伏線を仕掛け、クライマックスで鮮やかに回収してみせる。極めて精緻な構造で、作り込みすぎるところはあるものの、とがったアイデアで楽しませる作品に仕上がっている。

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