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ミステリの祭典

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マクベス
四大悲劇

作家 ウィリアム・シェイクスピア
出版日1948年01月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 斎藤警部
(2020/05/10 21:43登録)
「これで悴の鐘は鳴らしました。」  時は戦国、11世紀スコットランド。初期アサル朝を舞台とした、怖ろしく展開の速い殺戮と後悔と復讐の物語。 二つの謎(謎々?)が地味にストーリーを貫通、最後に化ける所はミステリぽい。がミステリそのものではなく、後世のミステリやクライム小説等々に巨大な影を投げ掛けているのであろう小さな巨篇。 流石に深く巧みな修辞と、日本語訳でも伝わる詩情。 戯曲ならではの直接心理排除も殺伐極まりない物語によく合っている。 さて本作、現在の公認史実と比べると、当時の事情(ジェームズ6世絡み)により、大きく捻じ曲げられているようですが。。 これは歴史を学ぶ良い切っ掛けとするが吉。  弾十六さんが教えてくれましたが、思わぬ所でRobert Johnsonつながりだったとは。。本作にも十字路で魂を売り渡したような人物が登場しますね。

No.1 7点 弾十六
(2019/07/25 22:08登録)
出版1623年フォーリオ版。初演は1606年、ガイフォークスの陰謀が発覚し、ガイの処刑(絞首・内臓えぐり ・四つ裂き)の後。角川の新訳(萬斎2008年上演)電子本で読みました。
小学生のとき、子供用リライト文学全集で読んだような記憶があります。あらためて読むと、英雄が王殺しを決意するのが唐突ですが、魔女、亡霊、予言、とオカルト全開で、印象に残る場面が満載。(でもそのほとんどがホリンシェッド著 『年代記 』からのパクリらしい。) 全ての悪事がこんな感じの後悔を産めば世の中から犯罪は無くなるのか?
以下、トリビア。
p1209/2733 おいで、おいで(Come away, Heccate): ヘカテの歌。十字路で悪魔に出会ったギター弾きとは別のRobert Johnson作曲あり。
p1296/2733 黒い精霊(Black spirits and white): 魔女の歌。当時の流行り歌(バラッド)だったらしい。メロディをPackington's Poundにした再現あり。(Ross W. Duffin, Shakespeare's Songbook, Volume 1, 2004)
p1335/2733 女から生まれた者(one of woman borne): 死んだ後の誕生(原文のマクダフのセリフはTell thee, Macduff was from his mother's womb / Untimely ripp'd.)は入らない、という翻訳表現が難しいところ。「女が生んだ者」の方がはっきりしてるかなぁ。

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