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ミステリの祭典

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氷の家

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日1994年04月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 5点
(2013/03/26 10:51登録)
発端の死体発見シーンは、魅惑的な本格ミステリーを期待してしまいます。
しかし、読み進めていけば、謎解き中心というよりは人物描写を全面に出した作品ということがわかってきます。
登場人物のあくの強さばかりが表現されたリアルな描写には閉口します。つねに登場人物の中にスカッとした人物を求めているわけではありませんが、人物描写が巧みすぎるせいで、ついていけないという面がありますね。クリスティぐらいの表現力であればいいのですが。
そんな登場人物たちの心境描写が入り乱れているのも問題です。いったい誰に感情移入したらいいのかわかりませんし、主人公が女3人なのか、刑事たちなのか、それもなかなか見えてきません。

問題点ばかりを並べましたが、そんな問題は前半に集中しています。覚悟して読み進め、クセのある人物に慣れてしまえば、入り込んでいけるのが不思議です。
実際に、物語が進むにつれて、登場人物間の面白い関係が見えはじめ、クセのある2グループ(女たちと刑事たち)のやりとりの面白さを楽しめるようになりました。
複雑な人間関係とあくの強さを、がまんしながら好意的にみながら読んでいくか、がまんせずに毛嫌いしてしまうか、そこが評価の分かれ目でしょう。
個人的にはぎりぎり前者。でもミステリー的には物足りなさを感じました。

No.3 7点 mini
(2013/03/08 09:58登録)
先月27日に創元文庫からミネット・ウォルターズ「遮断地区」が刊行された、ウォルターズの最高傑作との呼び声が高い作で、年末のこのミスに久々に返り咲くか?といったところか

この作者名を見るとどうも”ミネラル・ウォーター”を連想してしまうんだよなぁ、しかも”氷”じゃなくて”水の家”に見えてくる(笑)
私にとってウォルターズはずっと積読状態だった作家である、別に大した理由は無くて文庫ととしては少々厚かっただけでして(苦笑)、でも上下分冊本とかじゃないんだからもっと早く読むべきだった
デビュー作「氷の家」は題名から受ける先入観で”館もの”をイメージするなら完全なる間違いである
題名は庭の一角に”氷室”が備え付けてあるのが由来で、家という建築物的要素が重要なわけでは決して無い、”館もの”だと期待したならそれは読者側の勝手な思い込みが悪いのである
しかも”氷”という冬っぽい題名とは裏腹に作中の季節設定は夏だしね

ドラマの出来は知らんけど、原作に関しては凡作なんかじゃ絶対にない
嗜好の違いなんか関係ない、この作品は犯人当てパズルにしか興味の無い読者なんかにはどうせ理解が及ばないだろうね、無理に読む必要はないんじゃない

No.2 6点 touko
(2011/04/02 18:03登録)
これ、傑作扱いされていることも多い作品(キャラ萌え系じゃなく英国流社会派の作品として)なんですが、今となっては古いタイプの肩肘はったフェミニズムに基づいた説教臭が、私は鼻につくかなあ。。

マクベスの如き3人の魔女の世間でのイメージと実態とのギャップに、批評性があるんでしょうけど、ミステリとしては思わせぶりなわりに肩透かし、小粒な作品になってしまっている気がします。

No.1 4点 江守森江
(2010/11/15 00:06登録)
AXNミステリーで先週、今週の二週に渡り前後編で映画化作品が放送されたのを録画視聴したので毎度のごとくおさらいした。
最初に謎めいた女三人が暮らす家が全く魅力的でないのが痛い作品だと思える。
そしてドラマ・原作共々タイトル通りの重苦しい雰囲気に馴染めない儘で楽しめなかった。
人それぞれだが嗜好の範疇になかったのが世評と異なる最大要因。
役者の技量とキャラが魅力な作品なら救いはあるがこの作品は該当しないのでスルーしても問題ない気がする。
まだ先日観たミレニアムのドラマならリスベット役の女優の貧乳が見所として存在していた分だけ良かった。
ドラマ視聴のし過ぎでふやけた頭だが、原作ありミステリードラマの大半が原作共々凡作だと思い至った(それでも数少ない傑作を求めて視聴を続けるオバカな私である)

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