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ミステリの祭典

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カックー線事件

作家 アンドリュウ・ガーヴ
出版日1954年12月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 ことは
(2023/08/19 18:32登録)
この作品を読んだ後、カーヴはしばらく読まなくなったのだが、ここ数年でたくさん読んだので、読み方が変わるかもと思い、再読。
初読のときは意識できていなかったが、うん、これはかなりクロフツ風だ。
容疑がかけられた人物の潔白を証明するため、家族が捜査をすすめていくのだが、ここがかなりクロフツの味わいだと思った。でも、ここに意外な展開がなく、さらにうまくいきすぎで、それほど面白くないのが残念なところ。
視点人物が場面によって変わって、主人公が明確でないのも、物語に没入できなくしていると思う。
なんでこの作品を文庫化の3番目にしたのかな? ガーヴの中では下の方。初読時の評価は変わらなかった。

No.2 6点 斎藤警部
(2021/11/17 11:20登録)
バカ証拠(笑)、バカ解決(笑)。 主人公(ではないね、その父親)はダブルの事件に巻き込まれたくせして妙にのんびり、やたら緩やかなコージーサスペンスのようでいて、どうも何やら腹に一物あるような、、って期待した。。そこんとこ作者にミスディレクションの気はあったのだろうか。(私には◯◯◯の◯が終始どうにもニオった!) ちょっと接ぎ木したように現れる本格ミステリ展開は、ロジックのポイントが所々枝葉末節に見えて退屈気味だが、水運系の描写が愉しくて救われる。忙しなく爽やかなエンディングにも救いがあるが、やっぱどっか全体の構築に貫禄が無いというか。でも可愛げあって憎めない作品。 題名からして一応鉄道ミステリでもあるので、読み鉄の方は余裕あったらチェックしといていいかも。

No.1 6点 クリスティ再読
(2019/04/02 21:51登録)
エセックス州の田舎を走るイギリス国鉄のローカル線、カッコー線に乗った老紳士が、若い女性から暴行を受けたと騒ぎになった。紳士は暴行を否定し、その家族も「まさかウチの父に限って!」と紳士を信じるのだが、噂は村に広がってしまっていた。その女性は死体として発見され、老紳士に容疑がかかる。老紳士は精神の病気なのか?それとも何かの罠なのか? 弁護士の長男、作家の次男とその婚約者・長女と、老紳士の子どもたちが父の容疑を晴らすべく孤軍奮闘する...
という話。「それでもボクはやってない」みたいな痴漢冤罪風なのは冒頭だけで、殺人事件に発展してしまうとそっちは後景に退いてしまう。残念だが仕方ないな。それよりも東イングランドの沼沢地帯が舞台で、のんびりしたローカル色が、いい。アンブラーというかエリオット・リードの「恐怖のはしけ」も似たようなあたりが舞台だったし、ガーヴとアンブラーってローカル色を出したスリラーが得意で、似たテイストがあるからねぇ。次男がハウスボートを持っていて、婚約者と一緒にこの沼沢地帯で探索をして、父をハメた罠の真相に地味に一歩一歩近づいていくのが読みどころ。
真相はリアルなもので、いかにも「ありそうな」リアリティがあるのがガーヴらしい。しかし真犯人の自白が取れなくて、窮余の策に出るのが、お話といえばお話なところ(少し展開が読めるかな)。それでもガーヴ満開なウェルメイドなスリラー。

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