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ミステリの祭典

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魔法人形
ジェフリー・ブラックバーンシリーズ

作家 マックス・アフォード
出版日2003年08月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 6点 ことは
(2025/08/18 00:56登録)
うん、これは他の評者も指摘しているように、この作者はクイーンに似ている。
怪奇的設定はカーに似ているが、それがつかみだけで、中盤にふくらませないので、カーっぽくないし、逆に複雑な状況が判明していく段取りはクイーンに近いし、解決部分は「主人公が、どこに着目して真相を見いだしたか?」が説明されて、まさにクイーン的。この解決はなかなか気が利いていて、かなりの加点ポイント。一部はあからさま過ぎてわかってしまったのが残念だが。
途中の展開は、色々残念なところがおおくて、傑作とはいえないかな。
事件が起きるまでは怪奇的雰囲気を盛り上げるが、事件発生後は事件の検討がメインで怪奇的雰囲気は薄れてしまうし、途中の展開は色々明かされるが、見せ方が上手くないのか、なんだか地味。冒頭の不可能興味は残念なかたちで事実が明かされるし、意外な背景状況が次々と明かされるところは、ホームズ時代のようだし、内容が盛りすぎて前振りもないので、納得感が薄い。埋もれてしまうのも、わかる気がする。
でも、文句ばかり書いてしまったが、好きか嫌いかでは、好きなんだけどね。

No.3 6点 nukkam
(2016/05/10 19:23登録)
(ネタバレなしです) 1937年発表のジェフリー・ブラックバーンシリーズ第3作の本格派推理小説で怪奇色が濃くしたのが特長です。こういう作品を書いているからか作者のことをオーストラリアのカーと評価するむきもあるようですがminiさんのご講評に私も賛同で、カーよりはエラリー・クイーンの某作品を連想しました。確かに死を予告するかのように人形が登場するプロットですが、人形の描写は最低限に留まっているし人形と呪いの薀蓄(うんちく)が語られるわけでもありません。不可能犯罪や怪奇趣味よりもむしろ謎解き小説のツボを心得ていることを評価すべきだと思います。伏線や手掛かりがきちんと配置されて論理的に謎が解かれる本格派推理小説です。

No.2 3点 mini
(2013/05/24 09:54登録)
ちょっと前に論創社のTwitterに翻訳家の駒月雅子さんが降臨していたのには驚いた、さてその論創社だが
本日24日に論創社からマックス・アフォード「百年祭の殺人」が刊行される、シリーズ第1作目である

シリーズ第2作目で作者の初めて邦訳された作が「魔法人形」だ、いつ書評するか?今でしょ!という事で、これは既に書評済だったんだけど一旦削除して再登録
「魔法人形」はねえ、読んだのはかなり前なんだけど読んでたことさえ忘れてたよ、何て言うかさぁ、アフォードみたいな作家の書評するの恥ずかしくってさ(苦笑)
だってネット上でのブログとか見るに、未訳作品を翻訳して欲しい作家名として、アフォードと並べて、Pマク、ロード、キング、クレイスン、ペニー、ベロウと言った名前が挙がっているのをよく見かける
これらの作家を第1グループとしよう、この手の傾向の作家だけを漁って読んでると思われるのも嫌だったりでね(照れ隠し)
第1グループの作家の翻訳要望するタイプの読者で多い傾向が、イネス、アリンガム、ミッチェルなどはつまらんからもういいよという意見、これらの名前を第2グループとしよう
第1グループと第2グループの顔触れを見ると、明らかに現在の本格主義な読者がミステリーに何を求めているかが良く分かる
えっ!これで書評終りかって、だって作家名を並べれば、アフォードという作家が現在の本格主義読者にどんな期待のされ方してるか一目瞭然じゃんか
まぁでもそれだけじゃあまりに何なんで一応書評、アフォードってオーストラリアのカーと言われているらしいが、作風的にはどう見てもカーよりクイーンに近いんだよなぁ、特に名前なんか覚えてねえが(苦笑)探偵役の造形なんてクイーン君そのものだし
いずれにしてもアフォードが二流作家っぽいのは感じた

No.1 5点 kanamori
(2010/06/16 21:06登録)
悪魔学研究家の屋敷を舞台にした古典本格ミステリ。
たしかに豪州のディクスン・カーと称されるように怪奇趣味と不可能犯罪が描かれていますが、トリックが平凡な上に偶然を利用していたりで本家ほどのテクニックが感じられませんでした。
伏線がこまめに張られていますが、描写が正直すぎて真相が分かりやすくなっています。

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