異セカイ系 |
---|
作家 | 名倉編 |
---|---|
出版日 | 2018年08月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 名探偵ジャパン | |
(2019/04/12 17:05登録) 5点付けていますが、これは(まぁ楽しめた)というよりも、(まぁよく分からなかった)という意味だと理解して下さい。 はい、よく分かりません。正直、途中(主に異世界パートを)何度も斜め読みで済ませました。そういったわけなので、内容については、私は評価してよい立場にないとは思います。作中にも出てきた、ネット小説に慣れ親しんでいる若い世代の読者からしたら、「どうしてこの面白さが理解できないんだ? これだから老害は」と言われてしまうかもしれません。 しかしながら、こんな私ですが、悪いことや無為なことが書かれているわけではないことは、まぁ分かりました。メルカトルさんの書評にもある通り、本作のテーマは「愛」なのでしょう。作者はこの小説を通して、「愛」に溢れた「やさしい世界」を作りたいと願っているのだと思います。 ただ、その伝え方が、どストレートすぎます。ストーリーに上手く溶け込ませるとか、それとなくほのめかすとか、読んだ後に思ってみて「ああ、そういうことだったんだな」と思い返して分かるとか、そういったオブラートに包むことを一切していません。「愛」という棍棒でもって読者を思い切り殴りつけてきます、この作品(作者)は。異セカイの中心で愛を叫んでいます。まぁ歪曲にしすぎて伝わらないよりは、よほどいいのだとは思いますが。 ちょっと前にレビューした『NO推理 NO探偵』は、まだ理解できたうえで「何だこれは?」と思ったものですが、本作は理解できないうえで「何だこれは?」と言うしかありません。 メフィスト賞、どこへ行こうとしているのか。『すべてがFになる』とか『ハサミ男』とかを受賞させたことは、現在のメフィスト賞からしたら「黒歴史」なのではないでしょうか。 |
No.1 | 5点 | メルカトル | |
(2018/09/23 22:09登録) 小説投稿サイトでトップ10にランクインしたおれは「死にたい」と思うことで、自分の書いた小説世界に入れることに気がついた。小説通り悪の黒騎士に愛する姫の母が殺され、大冒険の旅に…♪ってボケェ!!作者が姫を不幸にし主人公が救う自己満足。書き直さな!現実でも異世界でも全員が幸せになる方法を探すんや!あれ、何これ。「作者への挑戦状」って…これ、ミステリなん? 『BOOK』データベースより。 なんじゃこりゃ!所詮、なろう系のラブコメだろう。こういうのを評価に値しないと言うんだよな。 これがメフィスト賞受賞作?落ちたもんだなあ。 こんなもん、2点で十分。 え?5点付けてるって。そうなんですよ、途中までは2点がせいぜいだと思いながら読んでました。正直、上記のような感想しか持てませんでした。 ところが、『作者への挑戦状』が出てきた辺りからなんとなくこの小説世界に入り込めるようになってきたんですよ。 メタにメタを塗り重ねたメタの多重構造に、いつのまにか自分まで取り込まれ、眩暈がしそうになりました。そして最後には「愛」が残ります。結局それかい、いい話で終わるんかい、つまり作者はすべての人、人類に対して愛を訴えたかったのだと思います。まあ、その心の叫びが読者全員に届くかどうかは疑問ですが、言いたいことやりたいことは伝わってきます。 なぜこの作品がメフィスト賞を?という素朴な疑問も、読み進むにつれなんとなく納得できたような気もします。それにしても最近の受賞作はどうも質が低下していると思われてなりません。 |