home

ミステリの祭典

login
五匹の子豚
エルキュール・ポアロ

作家 アガサ・クリスティー
出版日1957年01月
平均点7.26点
書評数23人

No.3 6点 E-BANKER
(2010/08/28 00:07登録)
ポワロ物の一作。
英国の童謡(?)「五匹の子豚」になぞらえた五人の容疑者が登場、ポワロが16年前の殺人事件の真相に迫ります。
5人の容疑者との面談内容や、それぞれに書かせた手紙を順に読ませていく展開に終始していて、確かにこの作品はかなり地味な部類に入るでしょう。
「最も犯人らしいと思わせた部分が実は犯人ではない最大の証拠である」というからくりがラストで示され、その点思わず唸らされます。
ただ、普通に読むとどうしても平板な感じがして、もう少しドラマティックな展開があってもいいなぁという感想になってしまいますねぇ・・・

No.2 7点 kanamori
(2010/06/20 18:58登録)
物語としては地味ですが、なぜか非常に印象に残っている作品です。
いわゆる「回想の殺人」テーマのミステリで、ポアロが16年前の殺人事件の裏の真実を突きとめるために、当時の5人の関係者から次々と証言を得ていく話で、のちに女史の中期以降の作品でたびたび書かれたお得意のプロットです。
大仕掛けだけがミステリの魅力ではないことを証明する逸品だと思います。

No.1 8点
(2009/04/03 22:13登録)
『アクロイド』や『オリエント急行』のような驚天動地のアイディアもなく、『ナイルに死す』や『白昼の悪魔』のようないわば教科書的な巧妙なトリックもありません。それにもかかわらず、nukkamさん等本作を絶賛する人は多いですし、私も大好きな作品です。
16年も前に起こった殺人事件ということで、ポアロが当時の事件関係者たちに質問していき、関係者それぞれがポアロに事件の思い出を手紙に書き送るだけの地味な展開です。また、真犯人の正体を隠しているのはほとんど動機に関するワン・アイディアだけで、これといった殺人トリックもありません。ところが、それにもかかわらず読んでいて面白く、結末の意外性も満足のいくものなのです。関係者たちが同じ人物に対して全く異なる見解をしていて、それら証言の中から真実を見極めていく手際は、まさにクリスティーならではだと思います。ただ、犯人を見破るための伏線がもう少しあればなという感じもします。

23中の書評を表示しています 21 - 23