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ミステリの祭典

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古い腕時計 きのう逢えたら・・・

作家 蘇部健一
出版日2011年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 まさむね
(2023/04/01 17:12登録)
 1日前に遡る、タイムリープ系連作短編。ありがちな設定とはいえ、結末はマチマチなので、ページはめくらされます。でも、中途半端で薄っぺらい印象は否定できない。工夫は一定認めるのだけれど。
 作者のこういった系統の作品は以前にも読んだことがあるのだけれども、私としては、蘇部健一作品といえば、「六とん」系のいろんな意味でのハラハラ感?を味わう方が好きかな。

No.2 5点 斎藤警部
(2020/11/30 21:57登録)
毎度甘々しいお涙頂戴フヮンタジー。浅くてスカスカかなりテキトー。謎の時計屋さんが毎回放つ印象的決め台詞×2もありますが。。エピローグ的なもの含みちょっと捻ったのであろう全体構成すら、見事なまでに中途半端。なのにちっとも詰まらなくなく、またおそろしく読みやすいのは隠しきれない長所。読み捨てに頗る良し。あと、エンドの感覚..切ないとか悲しいとか美しいとかホッとするとか..が統一されてなくて、最後どう転ぶかちょっとハラハラするのは良いかも。5点と言え5.0は上回って堂々合格点です。

片想いの結末/四番打者は逆転ホームランを打ったか?/最後の舞台/起死回生の大穴/おばあちゃんとの約束/明日に架ける橋/運命の予感/エピローグ/その後のふたつの物語  (徳間文庫)

No.1 6点 メルカトル
(2018/05/29 22:32登録)
いわく付きの古い腕時計を持つ者は一日だけ時間を戻すことができる。勿論、持ち主はそのことを知らない。が、その腕時計が止まってある時計店に修理を頼んだ後、翌日気づくと昨日に戻っているのだった。それを知った持ち主たちは、様々な願いを叶えようとするが。
所謂タイムトリップ物の連作短編集。

読み始めた時、相変わらず薄っぺらいなと思いました。しかし、読み進めるうちに、いやこれは蘇部が垢抜けたのではないか、と思い直しました。それが良いのか悪いのか、あの変梃りんな作風を誇り一部の読者を熱狂させた、私の知る蘇部ではなかったのに一抹の淋しさを覚えないでもありません。まあ、彼もこのような広く読者に受け入れられるような作品を書くようになったのだという感慨はありましたが。
結局、どれもちょっといい話ではありますが、必ずしもハッピーエンドになるわけではなく、かと言ってさして感動を覚えるでもなく、なんとなく生ぬるい印象を受けました。
中には何かを丸パクリしたような話もあり、脱力したりもしますが、まあそこそこの出来で及第点というところでしょうか。

それにしても、今でも彼は牛丼屋でバイトしながら執筆活動を行っているのでしょうか。作家も大変なんだなと、なんだか切なくなります。

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