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ミステリの祭典

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消えた断章
君原元刑事とその孫・樹来

作家 深木章子
出版日2018年03月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 虫暮部
(2021/06/08 11:19登録)
 被害者達のうち、“失踪者を探し回っているのが脅威だった”とされるSYが殺された理由がよく判らない。そもそもこの人は存在意義が希薄で、ポッと出て来てすぐ殺されちゃった。余分なエピソードなのでは。

 クリスティ談義は某長編('37年)を暗示しているのか。

No.2 6点 まさむね
(2018/12/17 23:40登録)
 「交換殺人はいかが?」で小学生探偵役を務めた樹来(じゅらい)も大学四年生に。元刑事の祖父「じいじ」も老人ホームで健在。大学生になった妹の麻亜知(まあち)から、「お兄ちゃんに会いたいという子がいる」と同級生の葛木夕夏を紹介され…。
 序盤から引き込まれる展開。中盤あたりまで「あれ?樹来クン大丈夫?キャラ的にも妹にもってかれてない?」といった不安(?)もありましたが、いやいや、しっかりと仕事をしてくれています。真相の一部は察しがつくし、既視感もあるのですが、リーダビリティ―は高く、不満はなかったですね。「そして誰もいなくなった」と「アクロイド殺し」ねぇ…読後にちょっとニヤリとしましたね。
 ちなみに、樹来と中村刑事のコンビで続編が出たりしないのかなぁ。勿論、じいじも登場してね。

No.1 6点 HORNET
(2018/07/16 17:57登録)
 「交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー」の、樹来が大きくなったバージョン。有栖川有栖の「学生アリスシリーズ」に対する「作家アリスシリーズ」みたいな感じ?そうとは知らずに読んだから、そうと分かって嬉しかった(笑)
 大学生になった樹来のところに、妹の麻亜知が友人を連れてくる。友人の名は夕夏。なんと彼女は、幼いころに叔父に誘拐されたという経験を持つ。その誘拐事件は夕夏も無傷で戻り、家庭内のいざこざということで処理されていたのだが、事件から10年たった今になって、警察が当時のことを改めて聞きに来たという。そして警察は何故か、ある少年の写真を見せ、「この子のことを知っているか」と聞いたという。警察には「知らない」と答えた夕夏だったが、実は記憶の中にその少年の顔はあった。そして夕夏は樹来たちに言った「私、その子を殺したかもしれないんです」―

 当時の状況の調査から、樹来と樹来に協力する捜査一課刑事・中村の推論によって推理が進められていくのが物語の中心。ちょっと一足飛びに推理を進め過ぎな感じはあるが、警察の捜査本部主体の話ではないのでまぁ致し方ない部分もあるかも。
 事件の真相は面白かったが、目から鱗というほどの意外性はなく、ある意味予想の範疇ではあった。

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