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ミステリの祭典

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さよなら僕らのスツールハウス

作家 岡崎琢磨
出版日2017年10月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 6点 ことは
(2022/12/25 00:25登録)
連作短編集。作品をまたいで登場する人物があるので、最初から順番に読むべき作品集。
個々の作品は、どれも意外な事実が最後に明らかになる構成だが、謎や捜査などは多くなく、ミステリ成分は薄め。
全体の構成から入ったと思うが、少し無理がある部分も多い。けれど、青春小説の味わいは心地いいので、悪くない。

No.2 7点 まさむね
(2021/08/31 22:15登録)
 シェアハウス舞台を舞台とした連作短編集。若者たちが人生の一時期を共有している風景、それを少し後にそれぞれが振り返っている描写にグッときましたね。ノスタルジックな気分に浸ってしまう辺り、自分も歳を重ねてきたのものだと、あらためて感じました。読後感もよく、様々に考えさせられます。
 短編の中では「陰の花」が個人的ベスト。短い尺ながら、心情的な二転三転が織り込まれています。作品全体としての構成もなかなか考えられています。多少の「あざとさ」にも、むしろ好感。幅広い年齢層にお勧めできそうな作品ですね。

No.1 8点 人並由真
(2018/03/19 17:28登録)
 トリックや伏線などの面で一編一編の出来不出来は感じるものの、連作を通して読んで、とても心の燃焼感の大きい一冊。

 人間関係が順繰りに有機的に交錯して前のエピソードと次のエピソードとの関係性を紡ぎあってゆく手法はことさら珍しいものでもないのだろう。
 しかしこの趣向が、いろんな入居者がそれぞれの人生の一時期を送ってきた物語の舞台を際立たせるという意味で、とても効果を上げている。

 最後は藤子・F・不二雄先生の「×××××」になるかと思いきや…読み手の緊張をうっちゃるラストの捌き方も見事。個人的に昨年の収穫の一つだと思う。和製・青春ミステリ版『聖アンセルム923号室』かもしれん。

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