home

ミステリの祭典

login
恐怖小説キリカ

作家 澤村伊智
出版日2017年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 HORNET
(2020/07/01 20:30登録)
 視点人物を変えた章立てをすることで、事の様相をひっくり返す展開はパターンか。偏狭的な見方をもった狂気の人物と被害者という構造が、視点人物の変化によってガラリと変わる。登場人物に寄せていた気持ちが複雑に揺り動かされてしまうのは術中にハマっている証拠だが、分かっていても面白く読み進めてしまった。
 そう思うと、後半(第三章だったかな?)でもうひとひねり欲しかったかな。二章で仕掛けが開陳された後は、それを受けたあとの「その後」を描いていることで終わっており、逆転もなくなすがままに進んでダークな結末になってしまったのがちょっと残念。
 歯の浮くような勧善懲悪を求めてはいないが、ストレートなまま結末まで進む展開はちょっと肩透かしだった。

No.2 7点 蟷螂の斧
(2019/02/20 20:06登録)
著者の「ぼぎわんが、来る」が日本ホラー小説大賞を受賞。彼の妻・霧香(キリカ)や仲間から祝福される様子などが描かれ、また、ゲラの校正から校了までの苦労話等々、私小説かのような展開です。出版社、選考委員も実名で登場しますし。そして第一部のラストで事件が起こります。この第一部ではある仕掛けが施してあるのですが、勘のいい読者は途中でわかってしまうかも。それはプチサプライズ。第二部では妻・霧香の視点で物語が進行します。ところがまさかのルメートル的展開に。さらに虚構か現実か?読者はけむに巻かれることに・・・。前作品のネタバレがあるので発表順に読んだ方がいいですね。そして、この作品の読者は上から目線で「時間の無駄」などと辛辣な投稿(批評)はできないようになってしまう?!(笑)。

No.1 7点 人並由真
(2018/02/09 14:16登録)
 メタフィクション要素を盛り込んだイカレた作品としては、爆笑ものであった。
 しかしこれだけWEBの検索機能そのほかの21世紀らしいギミックを持ち込みながら、全体としての感触にどこか80~90年代の作品的な、見知った安定感を覚えるのは何故か。

3レコード表示中です 書評