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ミステリの祭典

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ねじまき少女

作家 パオロ・バチガルピ
出版日2011年05月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 レッドキング
(2023/06/03 05:45登録)
環境(何とCIAの如き強権「環境省」)・食料(カロリー企業!)・エネルギー(何とゼンマイ!が強動力)・・三拍子揃って危機の近未来世界。 「バンコク」・・あのバンコクなんだろなぁ・・を舞台に展開する、ペシミスティックでエロティックな、サイバーパンクSF活劇。「ブレードランナー」由来のジャパン(日本でなく)風味・・寂しげだが絶望にまでは至らせない湿気と諦念・・も、ほのかに心地よく、点数、大いにオマケ。 ※文庫本上下巻を横に並べた表紙絵が良い。

No.2 6点 YMY
(2020/07/15 20:11登録)
本書はプロットよりも世界観が重要なSFで、環境問題やグローバリゼーション、科学倫理などについて深く考えさせられる。
文章そのものは特に難解ではないが、登場人物が非常に多く、多国籍の名前や利権をめぐって陰で争う多くのグループを理解するのには努力を要する。

No.1 5点 糸色女少
(2017/11/10 19:24登録)
時は、バイオテクノロジー企業が世界経済を支配する近未来。舞台は、海面上昇で水没の危機にあるバンコク。
石油資源は枯渇し、新たな動力源として強力なゼンマイが登場。象を遺伝子改造した巨大動物がゼンマイを巻く。
タイトルのねじまき少女とは日本製の少女型アンドロイド、エミコ。タイでは禁制品として処分の対象になるため、環境省の目を逃れ、娼館で働いている。彼女の存在が焦点となり、やがて国家を揺るがす大事件が勃発する。
「ニューロマンサー」以来の衝撃の惹句どおり、サイバーパンクの影響が色濃く、物語よりも、遺伝子工学で変貌したストリートの描写に主眼がある。
作者は1973年、米国コロラド州生まれ。ほぼ同世代の伊藤計劃の第一長編「虐殺器官」と読み比べるのも面白い。

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