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ミステリの祭典

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領主館の花嫁たち

作家 クリスチアナ・ブランド
出版日2014年01月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 レッドキング
(2024/07/05 21:17登録)
荒地の呪われた旧名家、衰弱した若き当主、屋敷を仕切る遠縁の外国人女、双子の美少女、顔面に傷を持つ美人教師、痩せこけた管理人青年、数百年にわたり一族代々の花嫁に憑りつく姉弟亡霊・・ん?ミステリ作家生涯の白鳥の歌は、「嵐が丘」・・悍ましくも美しい陰惨な悲劇・・やりたいのか?思わせて、そこはクリスチアナ・ブランド、入代りトリックネタで亡霊(なんと!)を嵌める、耽美ホラーファンタジーを決めてくれる。

No.2 5点 ボナンザ
(2020/10/20 20:49登録)
ブランドの最後の作品ということで人間の変貌していく様をうまく描写したホラーだと思う。

No.1 6点 tider-tiger
(2017/10/09 19:39登録)
病弱で精神にも異常のあった奥さまが天に召されたアバダール屋敷に家庭教師として招かれたテティ。知性溢れる聡明な女性であったが、身も心も傷を負っている。そんな彼女に懐いてくる美しい双子の姉妹。だが、この屋敷には忌わしき呪いがかけられていた。
じわじわと忍び寄る怪異、そして、テティは不吉な予言を突き付けられる。
「あんたは、いつかわたしたちを裏切って、破滅させるだろう」

クリスチアナ・ブランド最後の長編です。本書刊行から五年ほど後にブランドは亡くなったそうで、遺作というべきなのかは迷いどころ。
ミステリではなくゴシックホラー。『シャイニング』『嵐が丘』などが想起されましたが、そこにシャーリィ・ジャクスンの意地の悪さ、嫌な感じを付け加えた風。ブランドには元々意地の悪さがありましたが、ユーモアが鳴りを潜めてしまったので意地の悪さが剥き出しになり、さらに増幅されたように感じるのかもしれません。ホラーに分類しましたが、怖いというよりは薄気味悪い話でした。
本当の悪人はいない。だが、どの人物も人間の嫌な面ばかりを露呈させてしまう。それが元々の彼らの人間性ゆえなのか、館の呪いなのか、いまいち曖昧なのです。
第一部は見事です。読者の期待をことごとく裏切る意地悪な展開。館に翻弄されいつのまにか変容していく人物。淡々とした話ではありますが、読ませます。8点。
第二部は館の怪異がいよいよ正体を見せてくるのですが、それがちょっとやり過ぎのような気がしました。なぜか私にはとある人物の献身的な行為が非常に薄気味悪く思えました。そこまでやるのかと。6~7点。

ブランドのミステリ作品のようなどんでん返しはありませんし、エンタメ作品としては物足りないところもありましょうが、小出しにされる謎や呪いを解くための作戦はなかなか面白いと思います。そして、静かな幕引き。巨匠最後の作品として、なかなか感慨深いものがあります。

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