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ミステリの祭典

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青鉛筆の女

作家 ゴードン・マカルパイン
出版日2017年02月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 7点 八二一
(2020/10/23 19:33登録)
並列された三種の文章を追っていくうちに、やがてテクストとテクストとの間に「青鉛筆」で塗り消されたある人物の姿が浮かびあがり、胸を打つ。メタフィクショナルな手法がテーマと密室に結び付いた成功例。

No.2 5点 人並由真
(2018/03/19 15:28登録)
もうちょっと技巧的なものを予期していたが、現物はそれほどでもなかったという歯ごたえ。
 ただし本書が2015年に原書刊行という現実を考えると、第二次大戦から70年(以上)が経ったいま、欧米の読書人の意識を探る意味では興味深い。
 とはいえ読み終わってからひと月ほどが経過した今、このタイミングでじわじわ来る部分もたしかにあり、そこら辺はこの作品の強みかもしれない。

No.1 5点 小原庄助
(2017/08/31 10:13登録)
本書には三つのテキストが入れ代わり立ち代わり現れる。
ひとつは「改定論」という小説で、真珠湾攻撃の前夜に始まる、妻を殺された日系米国人男性の物語。
もうひとつは、「オーキッドと秘密工作員」という小説。
朝鮮系米国人の探偵が、日本のスパイ組織と戦う。
そして、何通もの編集者からの手紙。
二つの小説と編集者からの手紙を読み進めるうちに直接語られることのないもうひとつの物語が浮かび上がる。
二つの作中作も、それぞれ異なるスタイルで読ませる。
双方の物語がシンクロするつくりも印象深い。
短い中に、刺激とたくらみを詰め込んだ一冊。

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