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ミステリの祭典

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禁じられたジュリエット

作家 古野まほろ
出版日2017年03月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2024/08/27 22:41登録)
退廃文学として禁書となっている「ミステリ小説」に触れてしまった女子高生六人。
彼女ら「囚人」役と同級生二人の「看守」役は思想更生プログラムを強いられる。八人は協力して「監獄ごっこ」を乗り切るはずだったが、「囚人」と「看守」の対立は激化し、ついに悲劇が!
「書」の力を謳(うた)い上げたミステリ愛読者必読の書。
Amazon内容紹介より。

個人的に後半より前半の方が良かったです。最初は所詮ごっこだろうと高を括っていましたが、思った以上に看守の囚人に対するいじめが酷く、大変面白く読めました。
ミステリが退廃と捉えられた世界が一体どんな物なのか、ミステリを愛するがために故なく迫害されるのかと思うとやりきれないですね。

そんな中殺人が起こり、後半の多重推理が始まるのですが、どれも犯人を一人に絞るものではなく、犯人候補をふるいに掛けて、残った複数の人物の中に犯人がいるというものなので、一刀両断とはいきません。だから、其処にカタルシスは生まれません。
よって、多重推理ものとしてはやや物足りないと感じました。しかしそれを差し引いても、面白かったのは間違いなく、この作者にしては読み易さも相まって評価としては高レベルで良いと思います。

No.2 7点 ぷちレコード
(2021/05/01 21:58登録)
ミステリを読むことが禁じられた世界。囚人と看守に分けられた生徒による監獄。見守る二人の教師、そして殺人。あくまでフェアに、あくまで最善を尽くしたロジックで殺人者を炙り出していく過程は見事。

No.1 9点 虫暮部
(2017/05/08 14:55登録)
 自由と正義についての物語。これが予想外に感動させられてしまった。韜晦で著書を膨らませることも多い作者が言いたいことを直球で問いかけて来た。勿論返事は Oui。
 作者は本作の“源流”として『闇の喇叭』(有栖川有栖)を挙げているがさもありなん。というかストレートに影響受け過ぎでしょ。
 しかしこの手の虐待ネタのリーダビリティの高さと言ったら!相変わらずのくどい文体をものともせず一気読みした自分にびっくり。

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