home

ミステリの祭典

login
爆殺予告

作家 草野唯雄
出版日1977年04月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 人並由真
(2019/03/25 02:00登録)
(ネタバレなし)
 元版は1973年にサンケイ新聞社出版局から出たソフトカバーだが、2019年3月現在、Amazonにはデータがないようである。
 
 その元版刊行当時のミステリマガジンの新刊レビューで本書が取り上げられ、それなりに面白そうに書いてあったので、いつか読みたいと思っていた。ただしいざ実際に読んでみると、予期していたより読者に謎を解かせるパズル小説の要素は薄かった。

 それで本作のキーポイントとなる地名の謎については、やはりHMMの書評でも当然のごとく言及され、しかしながら、かの『砂の器』ほどの求心力がないという主旨のことが書かれていた。
 とはいえ現物に接すると、こちらの方が読者に提示する謎としては『砂の器』よりも明快に思える。まあ本作にしろ『砂の器』にしろ、そんなの知識(一般常識)としては知るわけないんだけど……という点では一緒なのだが(笑)。

 さらに一番の大仕掛けについては、最後にサプライズを設ける以外これしかないという予見から、早々にほぼ読めてしまった。が、それを補強する細かい描写は、なかなか丁寧に組み上げられている。
 ジャンル分けするんなら、謎解き要素を盛り込んだサスペンスという分類になるんだろうけど、小説としての肉付けはほとんど警察小説的な部分が担っている。
 数十年前から何となく気になっていた一冊で、3時間で読みおえられた佳作だった。

No.2 6点 蟷螂の斧
(2018/03/30 16:25登録)
もっと簡単に捜査できないかとイライラするのですが、携帯電話もパソコンもまだ登場していない昭和48年の作品でした(笑)。昭和らしいお色気シーンも描かれています。犯人の残した場所「うぐいすだに」に関し、上野~山梨県身延山と転々と捜査するあたり、「砂の器」を連想させます。誘拐を裏で操作する犯人は?、この辺のミスリードや伏線は巧いと思います。

No.1 7点 パメル
(2017/04/13 01:03登録)
会社社長の息子が誘拐され身代金を渡さなければ爆殺するという脅迫電話が・・・
しかし身代金を手に入れた犯人は逃走中に交通事故で死亡してしまう
時限爆弾を仕掛けられた子供の運命はどうなるのか?
また予想外な方向へのスリリングな展開と惹きつけられていく
終盤に明かされる真相に驚かされることは間違いないでしょう
サスペンス調に物語は推移しながらも仕掛けられた伏線やミスディレクションも見事で本格ミステリの技巧が凝らされている

3レコード表示中です 書評