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ミステリの祭典

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ハンサムな狙撃兵
タルキニーニシリーズ

作家 シャルル・エクスブライヤ
出版日1995年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2018/03/08 11:05登録)
(ネタバレなしです) 1962年発表のロメオ・タルキニーニシリーズ第2作のユーモア本格派推理小説です。前作の「チューインガムとスパゲッティ」(1960年)ではアメリカ人の目を通してイタリア人(タルキニーニ)のエキセントリックぶりを強調していましたが、本書では同じイタリア人ながらトリノ人(ツァンポール刑事)にとってヴェローナ人(タルキニーニ)がいかに変人に見えるかを面白おかしく描いています。tider-tigerさんがご講評で「ミステリを枠としたユーモア小説にして愛の賛歌」と評価されていますがなるほどと納得です。犯罪の謎解きはやってはいますがほとんど感覚的にこの容疑者は犯人ではないと決めつけていたりして、まともな捜査を期待する読者はあきれてしまうかも。タルキニーニは探偵役ではありますが愛の伝道師の方で目立ってます。ツァンポールは結構辟易してますが、タルキニーニは堂々と愛を語りまくります。

No.1 6点 tider-tiger
(2016/11/12 13:33登録)
ヴェローナ警察の警部ロメオ・タルキニーニはトリノ警察に招かれて捜査法を指導している。本音は「家族が恋しい、トリノの人間はなんて冷たいんだ」早くヴェローナに帰りたくて仕方がない。そんなある日、三人の若い娘が警察署にやって来た。自分たちの名誉を傷つけたハンサムな狙撃兵を殺したいのだが、人を殺したらどうなるのかを知りたいと三人は言う。タルキニーニは三人を宥めて帰すのだが、その後、この女たらしの狙撃兵が本当に殺害されてしまった。ところが、タルキニーニは三人の娘の無実を信じている。そこに論理はない。メグレ警視のような洞察もない。

「すべての犯罪の底には愛の物語がある」

ロメオ・タルキニーニ警部を主人公とするユーモアミステリシリーズの二作目です。
フランスの作家がなぜイタリアを舞台にイタリア人を主人公に据えたのか。
イタリア人の家族愛の強さは有名ですから、家族愛の強い男を描くにはイタリア人の主人公の方がしっくりとくるからなのでしょうか。ちなみにフランスの男は母親への愛情が強いそうです。平たく言えばマザコンばかりだと……フランス留学を経験した友人からの情報ですが、真偽のほどは?
ミステリ度はかなり低いので6点としておきますか。
ミステリを枠としたユーモア小説にして愛の賛歌。
ラストの一行がいいねえ。nukkamさんがスウィートホーム殺人事件を「ミステリーなのに読んで心が温まるという稀有な作品」と評されていたが、こちらもとても幸せな気持ちになれるミステリ。
シムノンの小説には大袈裟な名言などないが、メグレ警視を通して人生の哀しい断片を語る。そこには真実の響きがある。
エクスブライヤはタルキニーニに夢のような法螺ばかり吹かせている。人生の真実など少しも語ってはいないように思える。でも、読者の受け取り方次第でその法螺は読者を幸福で健全な精神の持ち主に変えてくれるかもしれない。

※本作教養文庫では作者名がエクスブラヤと表記されております。イありとイなし、どちらが正しいのか?

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