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ミステリの祭典

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美貌の帳
建築探偵シリーズ

作家 篠田真由美
出版日1998年05月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 初老人
(2014/12/18 23:25登録)
道具立ては揃っている。揃ってはいるのだが、肝心のトリックの中身が余りにも…といった所。
しかしながら建築探偵シリーズの中では比較的出来がいい方だと思われるので、もしこのシリーズを味見したい、と思っている方がいらっしゃれば、この作品から入って見るのもアリかと考えます。

No.2 7点 Tetchy
(2011/04/25 22:04登録)
シリーズの第二部の幕開けとなるのが本書。桜井、深春は大学を卒業し、定職につかず、趣味と実益を兼ねたアルバイトに従事するフリーターとなっており、蒼は高校へ進学している。また原点回帰という意味か、第1作『未明の家』で登場した杉原静音、遊馬朱鷺、雨沢鯛次郎らが再登場する。また蒼と京介の邂逅の時を描いた『原罪の庭』で登場した門野貴邦もカメオ出演する。

本格ミステリとしての謎解きのエッセンスは相変わらず薄い。寝間着を裏返しにしたまま自殺した死体や夜中に焼身して死を遂げる支配人や劇中に腹部にナイフの刺され傷が現れる女優など、奇怪な謎は提示されるものの、そこに主眼はなく、従来の作品同様あくまで主題は建築とそれに纏わる人々の愛憎がメインになっている。特に双璧を成す遠山の兄の不審死に纏わる寝間着を裏返しにして死んでいたという謎の真相は観念的で、ガッカリした。

しかし深春や蒼の過去の事件を経てから篠田氏のこの物語世界の描き方は以前よりも濃密に感じるし、少女マンガのステレオタイプのように感じた登場人物像も立ってきて厚みが増したように思う。ただ物語に流れる諦観めいた陰鬱さは相変わらず。この暗さがもう少し解消されればいいのだが。個人的には深春と京介の邂逅を描いた『灰色の砦』のテイストを望みたい。
ただ建築に携わる者から云わせてもらえば、2ヶ月程度で建物が未完とはいえ内装まで仕上げられるというのは無理にもほどがある。特に鹿鳴館ほどの規模であれば尚更だ。突貫工事でもコンクリートの養生期間なども必要なのだから複層階の建物であそこまでは仕上がらない。建築に造詣が深い作者ならばこの辺の現実にはもう少し配慮してほしかった。

No.1 5点 vivi
(2008/01/08 01:07登録)
トリック的には大きなものは無く、
フーダニットとしても少し弱い感じでした。
建築をめぐる執念のようなものは感じられたけど。

キャラ小説としても、ちょっと重い展開ですね。
(このシリーズ全体がですけど)

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