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ミステリの祭典

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確証
萩尾警部補シリーズ

作家 今野敏
出版日2012年07月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 6点 パメル
(2024/09/14 20:28登録)
警視庁捜査3課に所属する主人公・萩尾は、相棒の女性・秋穂によい印象を持っていない。自分は所轄の刑事時代から、窃盗事件などをコツコツ追ってきた「盗犯係」。だが秋穂は、華やかな捜査1課に憧れている。ただでさえ歳が離れているのに、女性ということで扱いに困惑する。捜査の過程でも、日々やりにくさを感じる。しかし、次第に刑事としても人間としても信頼し合っていく師弟物語として読ませる。
男と女、上司と部下、エリートとたたき上げ、といった人間関係も本書の読みどころ。各々の台詞や行動が、彼らの立場や性格を表しており、その光景が鮮明に目に浮かぶ。窃盗事件は捜査3課、強盗事件は捜査1課と担当が分かれるが、お互いのプライドをぶつけ合うドラマが迫力満点。事件解決にヒントをもたらすのは、秋穂の女性ならではの感性だ。その背景にも男と女、富裕と貧困といった構図が隠れている。社会問題も含め、いろいろと考えさせられた。
先が読めてしまう展開が残念であったが、証拠を探し出していく過程に読み応えがあり、読後感も爽やか。

No.2 7点 VOLKS
(2018/06/21 21:47登録)
久しぶりに今野敏作品を読んだ。
ああ、やっぱり私はこの人の作品が大好きだ
と、再確認。
まずキャラが素晴らしい。
主役はもちろんのこと、主役周りから対立派まで本当によく練られていると感じる。
随所にある警察モノならではのトリビアも勉強になる。
吉田栄作が主役でのドラマがあったようだが、見逃してしまっていたのが残念。
機会があったら映像も観てみたいと思う。

No.1 9点 HORNET
(2016/10/09 20:57登録)
 捜査三課・盗犯担当のベテラン刑事、萩尾秀一と、相棒の新人・武田秋穂は、渋谷で起きた窃盗事件の捜査に乗り出す中、前日の同時刻に同じ渋谷で起きた強盗殺人事件との関連を疑う。しかし、強盗殺人事件を担当する捜査一課の菅井は、そんな萩尾たちをはなから見下し、自分たちの方針に従うよう高圧的な態度で要求する。盗犯捜査一筋、周りからも一目置かれるほどの実力者萩尾もただでは引かない。「窃盗事件は、前日の強盗殺人犯に対するメッセージだ」と考える萩尾たちの捜査は果たして…。
 相変わらずキャラ設定がうまく、いぶし銀の捜査官・萩尾、分かりやすいほどの憎まれ役・菅井の対立が面白い。もちろんそうしたエンタメ要素だけでなく、2つの事件とその背景にある盗犯者たちの人間関係、真相へと近づく捜査過程も面白い。
 読ませる作家、今野敏健在。そう思わせる快作だった。

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