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ミステリの祭典

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遠い唇

作家 北村薫
出版日2016年09月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 小原庄助
(2017/11/03 13:08登録)
七編からなる短編集でそのうちの数編は女性が語り手。
ミステリとしてはある男性人物の視点から江戸川乱歩の「二銭銅貨」の裏側を推理する「続・二銭銅貨」も興味深いが、やはり女性作家と名探偵がダイイングメッセージを解き明かす「ビスケット」が面白い。
短詩型に造詣の深い作者は、巧みに俳句や短歌を引用して、隠された人物の思いを引き出し、女性たちの心象風景をしっとり映し出す。
完成度はやや甘いけれど、叙情が心に残る。

No.2 5点 まさむね
(2017/03/02 22:38登録)
 7篇で構成される、ノンシリーズの短編集。
 パンチ力という点では消極的な評価となりますが、作者もソコは狙っていないでしょうし、全体としてはいかにもこの作者らしい、しみじみとした短編集に仕上がっていると思います。
 一方、完全に私個人の嗜好の問題なのですが、ダイイングメッセージや暗号モノにはあまり興味がありません。このタイプの短編も複数ありまして、これらの個々の短編自体の雰囲気は決して嫌いではなかったのですが、採点としてはこの辺りといたします。

No.1 5点 虫暮部
(2017/01/24 09:11登録)
 「しりとり」の鮮やかな解は印象的。
 しかし短編集全体としては期待したほどではない。北村薫の場合、心の機微を繊細に描く類のものは、文章が巧みなだけに綺麗になり過ぎで却ってフックに欠ける。犯罪絡みのミステリのほうが好き。
 「パトラッシュ」で、ミドを平たく発音するというのは不自然。“ミ↑ド↓”だから寧ろカッコウに近いでしょう。
 「付記」の“うっかり犯人が当たってしまったらつまらない、驚かせてほしい”には大いに共感。私も推理はしない派。

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