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ミステリの祭典

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パレード

作家 吉田修一
出版日2002年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 ぷちレコード
(2024/05/07 22:30登録)
疑似家族をテーマにしており、2LDKのマンションで共同生活する十八歳から二十八歳までの五人の男女の物語。
ここには日本的な離脱不可能な共同体ではなく、いつでも離脱可能な共同体が作り出され、住人のあいだに緩やかな共犯性を育んでいる。
ラストの突発的な事件も単に物語を締めるための苦しまぎれの結末ではなく、この疑似的な家に潜在する危うさの露呈であり、こうした危機への感覚は生々しく鋭い。

No.2 6点 zuso
(2022/08/17 22:47登録)
東京都内のマンション。4階の2LDKの部屋に男女の若者たちが暮らしている。最初は4人、途中から5人になる。その住人たちが順々に語り手となって物語は進む。
複数の視点から見る出来事や人物は立体的。一方で、誰も同じ景色を見ていないことに気づく。誰もが「本当の自分」を見せず、出来事や人物の解釈にも、ずれがある。真実はどこか曖昧で、読んでいくうちに真実から遠ざかっていく気さえする。
そんな若者たちが暮らすこの部屋では、上辺だけの付き合い。だからこそ悪意や残虐さがどこかに蓄積され、増幅していくのかもしれない。そして、ある事件をきっかけに、この空間のいびつさがあらわになる。
そして人間のグロテスクさが閃光を浴びるよう一瞬、映し出され日常の奇妙さと底知れぬ怖さが浮かび上がる。

No.1 5点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2022/08/09 14:31登録)
男三人、女二人の五人が、2LDKで共同生活をしている。皆それぞれ、悩みがあるが隠し装うことで、また自分を演じることで、日常は破綻なく過ぎていく。その心地よさとユーモアが、この底流としてある。
ところが、突如亀裂が入る。隠されていたものが噴出する。平穏に見えた日常が途端に苦み走ったものになる。でもそこで物語は終わらない。瞬時に日常はまた、この奥深さを覆うのだ。そして平坦さがさらに広がってゆく予感、その不気味さと平穏さが読み手に残る。

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