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ミステリの祭典

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パレード

作家 吉田修一
出版日2002年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 zuso
(2022/08/17 22:47登録)
東京都内のマンション。4階の2LDKの部屋に男女の若者たちが暮らしている。最初は4人、途中から5人になる。その住人たちが順々に語り手となって物語は進む。
複数の視点から見る出来事や人物は立体的。一方で、誰も同じ景色を見ていないことに気づく。誰もが「本当の自分」を見せず、出来事や人物の解釈にも、ずれがある。真実はどこか曖昧で、読んでいくうちに真実から遠ざかっていく気さえする。
そんな若者たちが暮らすこの部屋では、上辺だけの付き合い。だからこそ悪意や残虐さがどこかに蓄積され、増幅していくのかもしれない。そして、ある事件をきっかけに、この空間のいびつさがあらわになる。
そして人間のグロテスクさが閃光を浴びるよう一瞬、映し出され日常の奇妙さと底知れぬ怖さが浮かび上がる。

No.1 5点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2022/08/09 14:31登録)
男三人、女二人の五人が、2LDKで共同生活をしている。皆それぞれ、悩みがあるが隠し装うことで、また自分を演じることで、日常は破綻なく過ぎていく。その心地よさとユーモアが、この底流としてある。
ところが、突如亀裂が入る。隠されていたものが噴出する。平穏に見えた日常が途端に苦み走ったものになる。でもそこで物語は終わらない。瞬時に日常はまた、この奥深さを覆うのだ。そして平坦さがさらに広がってゆく予感、その不気味さと平穏さが読み手に残る。

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