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ミステリの祭典

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列車の死
フレンチシリーズ

作家 F・W・クロフツ
出版日1957年01月
平均点4.00点
書評数3人

No.3 2点 レッドキング
(2024/02/28 23:14登録)
クロフツ第三十作。タイトルの「列車の死」、”列車「での」死" (On a train)・・十八番トラベル犯罪物・・ではなくて、”列車「の」死" (Of a train)・・まんま列車が死んじゃう話・・だった。英米にとって、ヒトラーとの原爆開発競争は、愛国どころか死活問題なの分るが、落とされた日本国民としては、素直に感動はデキンよ、フレンチの「特攻」。

No.2 5点 E-BANKER
(2023/10/09 12:40登録)
フレンチ警部登場作として26番目。つまりはかなり後期の作品ということ。
今回は作者の十八番(おはこ)とも言うべき「列車」「線路」が舞台となる。真骨頂発揮!なのかどうか・・・
1946年の発表。

~第二次世界大戦。ドイツ軍の猛攻撃により英国軍は後退を余儀なくされていた。英国政府は緊急会議を開き、急遽極秘の物資輸送を決定した。ところが、その輸送列車のわずかな故障によって先行した旅客列車が豪音とともに転覆したのだ。破壊工作の跡から輸送計画の漏洩に気付いた政府は、ロンドン警視庁に捜査を命じた。フレンチ警部はスパイ組織壊滅の密命を受けたが、巧妙を極めた犯罪の隠蔽工作の前に捜査は一進一退。突破口を開くべくフレンチは一計を案じたが・・・~

他の方も書かれてますが、いつものクロフツ、いつものフレンチ警部ものとはかなり毛色の異なる作品。
確かに途中はいつものとおり、お得意の「靴底をすり減らす」「丹念な」捜査行が描かれていますが、なにぶん今回は相手がデカイ。そして手強い。なかなか思う通りの成果が上がらず、いつも以上に苦悩することとなる。
しかしまぁ、宮仕えとはいえ酷使されるねぇ・・・フレンチ警部は
今回はドイツ軍スパイが相手ですよ! 普通は公安的な専門家が対処するだろうに・・・
ただ、ドイツ軍スパイに対する「目くらまし」「ダミー」としての役割も担っているから仕方ないのか・・・上司であるエリソン卿も罪な人である。

で、本筋なのだが、今回はフーダニット的な興趣は殆どなく、メインの謎は「どのように列車が転覆させられたのか?」と「なぜ機密情報が敵に漏れたのか?」の2つ。
ただし、前者は列車運行の専門家がほぼ真相を見抜いておりフレンチはそれをなぞるだけ。後者もその中途の仕掛けや罠は面白いけど、かなりあっけなく謎が氷解してしまう。
なので、やはり本作はサスペンス的な側面が大きいという結論かな。(なんとラストはフレンチがひとりで犯罪グループと対峙して、もしや銃弾に倒れた?という場面まで用意されている)

やっぱりシリーズものの宿命で、長く続けるとどうしても変化球的作品を入れないと、ストレートばかりでは読者も三振してくれない・・・ということなんでしょう。ねぇクロフツさん・・・などと想像してみた。
ただ、それがうまくいっているかというと、非常にビミョー。
(フレンチ警部ものも残り僅かになってしまった。寂しい)

No.1 5点 nukkam
(2016/07/15 12:22登録)
(ネタバレなしです) 1946年発表のフレンチシリーズ第26作で後期の代表作と評価されています。列車とその運行を丁寧に描写しているところは鉄道技師出身の作者ならではの個性が発揮されていてなかなか読ませますがミステリーとしてはそれほど感銘できませんでした。内容は組織対組織の色合いの強いスパイ・スリラーで、フレンチの地道な捜査も描かれているとはいえフーダニットの要素もほとんどありません。あっけにとられるほど「暴力的」解決だったのが珍しいですが、でもこれは私が期待するクロフツとは程遠かったです。

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