怪盗ニック全仕事(3) 怪盗ニック |
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作家 | エドワード・D・ホック |
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出版日 | 2016年06月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | ボナンザ | |
(2020/12/17 23:06登録) ニックの活躍ぶりに陰りなし。話の展開のために明らかにしょぼいミスをしたり、依頼人の意図に背いたりしてるのは御愛嬌。 |
No.2 | 5点 | 人並由真 | |
(2016/10/08 15:33登録) (ネタバレなし) 人気シリーズということで読者や編集部の要請もあったんだろうけれど、あれだけの総数の作品を書いていながらこの「ニックもの」だけで全87本! たぶん作者が亡くならなければもっと書き続けられたろうし、いやはや、まずは作者ホックのその超人的な創作ぶりに改めて深い敬意を表したい。 それで本書は就眠前に少しずつ読み進めたけど、正直、一冊の収録数が16編は少し多い。よくも悪くもシリーズの練度が高まった時期の作品群ということもあり、後半の話を読む頃には本書前半の物語の印象が希薄化していった。 巻数の増加は出版社的には良かれ悪しかれだろうが、本当ならこの<ニック全集>そのものを全9~10巻ほどの構成にして、一冊ごとにせいぜい9~10編の収録数に抑えていたのなら、ずっと付き合いやすい叢書になったのでは…? とも思う。 それで「ニックもの」もこの辺になると、シリーズ上のある部分で進展を見せたり、ゲストキャラを再登場させたり、(これは前からやってるか)、警察にひんぱんに眼をつけられたり…と作者がマンネリを回避しようとしているのはわかる。それゆえあまり文句は言えないし、実際の話の転がり方もバラエティ感は感じさせる。 しかしもうどのような手段で盗むかのハウダニットにはあまり労力は掛けられなくなり、かたや、随時生じる殺人事件のフーダニットに力点が置かれてくる。 その一方で「なんでそれを盗ませようとする」のホワイダニットの部分だけは一貫して健在…。ああやっぱり連作短編の長期シリーズってファンには嬉しいけれど難しい面もあるのだなと実感させる、そんな一冊であった。 なおそのホワイダニットの点では、一番最後に収録の「使用済みのティーバッグを盗め」が最低作。あ~あ、ついにこの手の安易な「なんで」オチをやっちまったよ、とガッカリした(とはいえ作者もその弱点は意識していたらしく、同編のほかの部分にいくつかの仕掛けを設けてあるのは流石だけど)。 トータルの完成度としての個人的なベスト編はホワイダニットの部分にシンプルな回答で答えた上、プラスアルファを感じさせる「つたない子供の絵を盗め」「田舎町の絵はがきを盗め」あたり。話の転がし方では「銀行家の灰皿を盗め」「感謝祭の七面鳥を盗め」も悪くない。しかし一番印象に残ったのは「消防士のヘルメットを盗め」。これはなんともいえない余韻がとても素晴らしい。 ところで創元のホックは「ニックもの」が終わるまで他は出ないだろうけど、レオポルド警部とジェフリー・ランドもいつかシリーズものとしてそれぞれ何冊かまとめて訳して頂きたい(できれば全話)。特に後者は諜報世界の人間ドラマ+種々の謎解きものの妙味で、独特の魅力があると思う。 長編もコンピューター検察局の3冊目が読みたいなあ。すごく面白そうだし。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2016/07/12 18:44登録) 泥棒にして探偵役、〈怪盗ニック〉ことニック・ヴェルヴェットが登場する短編87作品を発表順に収録する全集(全6巻)の3巻目。このシリーズは早川書房から日本独自編集で4冊出ていますが、この創元社版の3巻目は本邦初訳4作をはじめ、いままで個人短編集に未収録だったものが半数以上占めているのは嬉しい。 どのようにして盗むか(ハウダニット)の部分は、ややご都合主義が目立ち、手段もパターン化されていて、それほど力点は置かれていません。やはり当シリーズに一貫する魅力は、なぜ価値がないもの(あるいは奇妙なもの)を大金を出して盗ませようとするのか?という謎(ホワイダニット)にありますね。 シリーズも30話を超えると(本書には第31話から44話までの14作を収録)、新鮮なアイデアは少なく、マンネリを感じることは否めないのですが、往年のファンであれば、安心して楽しめる作品集です。本書では、恋人のグロリアの存在を活かすプロットがいくつかの作品で見られるのが、作者の工夫かなと思います。また、依頼された仕事が終わったあとに意外な展開をみせる作品が多いのも特徴的です。 収録作の個人的ベスト3は(再読が多いのですが)、「きのうの新聞」「感謝祭の七面鳥」「田舎町の絵はがき」あたり。また、「駐日アメリカ大使の電話」は、日本が舞台で、7月に皇居のそばで凧揚げをするシーンが出てくる異色作ですw |