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ミステリの祭典

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世紀末ロンドン・ラプソディ

作家 水城嶺子
出版日1990年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2020/11/18 11:05登録)
 古いロックンロールを現代のスタジオでカヴァーすると音質が良過ぎて違和感がある、かと言ってわざと悪い音で録るのはあざとさが先に立つ、さてどうしたものか。アレンジに若干現代的な手を加えて、音響を鼻に付かない程度に懐古的なムードで処理して、少しずつ中道に寄せました。みたいな感じ。
 事件の単純さは原典に気を遣い過ぎでは。とは言え、このような原典への懸想文の如き作品でも、それなりに気持を共有可能なのはシャーロック・ホームズと言うキャラクターの特権か。作者が楽しんで書いているイメージによって読者が楽しくなる本もあるのだな~。

No.1 5点
(2018/06/06 22:55登録)
1990年度の横溝正史賞で、受賞には至らなかったものの優秀賞とされた作品です。同じ回は鈴木光司の『リング』と吉村達也の『ゴースト・ライター』も候補作だったということで、審査結果に不満を言う人もいるようですが、その頃だからこその作品という意味では、うまいところを突いた企画と言えます。もちろん1889年に雑誌掲載が開始されたホームズ・シリーズ100周年(『緋色の研究』出版は1887年ですが)ということです。
作者のドイルを無視してホームズを実在の人物とする作品なわけですが、さらにH・G・ウェルズを登場させ、実際にタイム・マシンを発明していたという設定にすることで、現代の文学部大学院生瑞希を100年前のロンドンに飛ばせています。
ずいぶんなご都合主義もありますし、傘を取りに家に戻ったフィリモア氏が消え失せる方法が設定からすれば当然すぎるのには苦笑ものですが、とりあえず楽しめました。

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