ハーメルンの誘拐魔 刑事 犬養隼人シリーズ/改題『ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人』 |
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作家 | 中山七里 |
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出版日 | 2016年01月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 2点 | mediocrity | |
(2019/10/21 05:14登録) <ネタバレあり> 言いたいことは他にも色々あるが、どうしても納得いかない点のみ書く。 まず、警察があそこまで無能なのは、ちょっと考えにくい。狂言誘拐の可能性なんて十分考えられるんだから、関係者は全員尾行しておけよと言いたい。捜査員を数百人使ってるのに、なぜ村本医師に誰も付いていないのか。 それから、身代金の引き渡しで、あの場所を警戒してないのはありえない。意外どころか、一番可能性が高い方法だと思ったんだけど。(あの辺りの地理感がある人なら真っ先に思い浮かぶのでは。つまり大阪府警がそれを考慮に入れていないのは考えにくい) あと、最後の真犯人?は、意外性を狙ったのだろうが、いくらなんでも無理があると思う。 |
No.2 | 8点 | HORNET | |
(2017/06/24 22:51登録) 子宮頚がんワクチンの副反応により障害を負った15歳の少女が誘拐された。現場には「ハーメルンの笛吹き男」が描かれた絵ハガキが。障害を負った年端もゆかない少女を攫うという卑劣な犯行に憤る警察。ところが、次に誘拐されたのは子宮頚がんワクチンの接種を推進している団体の長の娘。これが偶然とは思えない犬養は、そのつながりに着目して捜査を進める— どんでん返しが有名な著者だが、本作品のそれはいつもにもして痛快だった。身代金受渡しの警察の不備は、「今の時代そのぐらい構えるんじゃないの」と思いつつ、意外に本当に盲点になりそうな感じもして、興味深かった。 今回の話はあまり血なまぐさくなく、読後感もよかった。あまりに言葉が洗練され過ぎている感がある登場人物の会話は相変わらずだが、だからこそ力のある作品になっていることは間違いなく、著者作品の魅力である。 |
No.1 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2016/04/23 18:55登録) ~「病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。」~ ワクチン禍に警鐘を鳴らす社会派ミステリーです。物語の展開上やむを得ない面はあるのですが、やはり誘拐ものなので、もう少し緊迫感が欲しかったですね。社会性問題を重視している作品なので、刑事・明日香の言動は、女性の立場や母性の心理を代表していることは理解できます。しかし、ミステリー的には失敗のような気がしました。まあ、真相は著者らしいと言えば著者らしいのかも。 |