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ミステリの祭典

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血の咆哮
元保安官コーク・オコナー

作家 ウィリアム・ケント・クルーガー
出版日2014年04月
平均点7.67点
書評数3人

No.3 7点 蟷螂の斧
(2024/08/29 22:21登録)
三部構成のハードボイルドタッチの小説。2007年の作品なので、主題の息子捜し(第一部)はインターネットの検索で、呆気ないほど簡単に見つかってしまう(苦笑)。第二部が青春、恋愛、冒険小説。愛し合った二人(メルーとマリア)はある事件で離ればなれとなる。その後、事件が起きるのだが、その情報を教えたのがマリアでは?と疑心暗鬼になるメルー。第三部はエンタメ系となるが、切ない大人の物語も挿入されている。

No.2 8点 猫サーカス
(2019/01/04 18:48登録)
元保安官コークは、老まじない師メルーに70年以上も会っていない息子の行方を捜してくれと頼まれる。メルーは10代のころ初めての恋に落ち愛した女性とのあいだに子供をもうけていたのだった。メルーのために奔走するコークだったが、彼自身も娘との間に確執を抱えていた。メルーが当時を回想する部分は、瑞々しい青春小説として読み応えたっぷり。さらに、人生の岐路に立たされた娘を前に、戸惑うコークとすべてを受け入れようとする妻の現在進行形の物語。重なり合った物語から、親子の強い絆が見事に浮かび上がる。ミステリではあるが「親子愛」がテーマの物語。

No.1 8点 kanamori
(2016/01/16 11:29登録)
ミネソタ州の北部森林地帯で家族と暮らす元保安官のオコナーは、心臓の病で倒れた旧知の老インディアン・メルーから、いまだ会ったことのない息子を探してほしいと頼まれる。その息子は、大鉱山会社を起こした伝説の人物で、今はカナダのスペリオル湖に浮かぶ島で、世捨て人のように暮らしていることが判る---------。

元保安官コーコラン・オコナーを主人公とするシリーズの一冊。
本作では、シリーズ初めてオコナーの一人称小説になっており、主人公の人物像や家族に対する心情が細やかに語られるので、シリーズ7作目ですが、最高傑作といわれる本作から読むのもアリかなと思います。
しかし、今作の本当の主役はオジブア族の90歳の呪い師ヘンリー・メルーです。
二人が夜の湖畔に座り、メルーによって70年以上前の過去が語られる第2部が、大自然を舞台にした冒険小説、かつ恋愛小説として出色の出来栄え。虐げられたひとりのインディアン少年の成長の物語でもあります。
第3部の、カナダ森林地帯を背景にしたオコナー達の活劇シーンにも見せ場はありますが、やはりメルーの存在感の前にちょっと霞んでしまっていますね。
エドガー賞を受賞した非シリーズもの「ありふれた祈り」(昨年の”このミス”3位)も感銘をうけましたが、アメリカ文学っぽいのはちょっと....という人には、エンタテイメント性も高い本書をお薦めします。

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