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モトキングさん
平均点: 6.06点 書評数: 78件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.10 3点 ペルシャ猫の謎- 有栖川有栖 2003/12/05 16:20
特に何もない作品。
火村シリーズのキャラクターが好きな方へのファンブック。
表題作も、まあ問題作なのかなとは思うが、作者自身も本格長編でこんなことはやらないだろうし、アンチテーゼとかいうより、単なるお遊び作品。
ミステリとしては…評価出来る作品はありませんね。

No.9 7点 幻想運河- 有栖川有栖 2001/12/27 13:39
面白いと思う。しかし、他の有栖川作品と比べ、伏線やサイドストーリー等の構成などが作り込まれていない感じがする。これも雑誌連載の成せる業だろうか。作中作の話は、はっきりいって本筋とリンクしていないし、意味ありげな登場人物の正体も謎のまま終わってしまう。
また、犯人や動機や主人公の最後(冒頭?)の行動など、論理的なしっかりとした解決が成されていないのも、有栖川作品としては珍しい。このような、余韻を残して判断を読者に任せる雰囲気が良しとする人もいるだろう。ただ個人的には、難しいかも知れないが、この雰囲気にプラスして、いつもの論理性を加えて欲しかった。私は有栖川作品の解決編での論理の切れ味が大好きなので。
しかし解決はともかく、それに至るまでの謎の提示や主人公の葛藤など作品の雰囲気は非常に良い。よって総合的にこの点数。

No.8 2点 海のある奈良に死す- 有栖川有栖 2001/12/26 17:13
有栖川が有栖川であることを捨てた作品とでも言おうか。
これは一体何なのでしょう。有栖川作品における唯一だが絶対的に評価できる「論理性」をほっぽりだして、終いには内○康夫紛いのトラベルミステリーですか。
先生の作品中、これと「ダリの繭」だけはどうしても許せないほど出来が悪い。キャラで売れるほど火村はメジャーじゃないし、彼だって良き謎と共にそのキャリアを伸ばしていくべきでしょう。
まだまだ売り出し中なのに、こんな作品書くなんて・・・。非常にガッカリです。

No.7 8点 孤島パズル- 有栖川有栖 2001/12/20 13:15
有栖川先生が誇る江神シリーズは、論理性をとことんまで突き詰める有栖川作品の中でも、その論理展開の出来に特筆すべきモノを感じる。
初期の江神3部作のうち、構成、雰囲気、スケール等も含めた最高の作品は、個人的には「双頭〜」であるが、解決への論理展開の見事さだけに限るので在れば、この作品が一番だろう。
島の形状。自転車の数。通行可能ルートの設定。細かく鏤められた伏線の数々。正にロジックを突き詰めた小説は、良くできたクイズ若しくは数学や物理の問題などと同レベルの知的好奇心を読者に与えてくれる。
しかし小説は、単なるクイズ、問題では感じることの出来ない読後感がある。この作品は、一抹の清涼感すら漂うパズルクイズの傑作であり、それ故にロジカルなミステリの傑作であるといえる。

No.6 6点 46番目の密室- 有栖川有栖 2001/12/19 11:33
この頃は何となく、未だ論理一辺倒じゃないって感じがしますね。
密室ネタを持ち出したのもそうだし、一つの館を舞台に持ち出したのもそう。何かトリックに対してもある程度の必要性というか、取り組み方に関する意気込みを感じる。
肝心の密室トリックについては、まあ基本中の基本のような穴ですけど、ネタそのものとしては、恐らく新しいのではないかと思います。
もの凄い興奮や感動はないけど、良くできた佳作じゃないでしょうか。旧本格の香りが、私は好きです。

No.5 6点 朱色の研究- 有栖川有栖 2001/12/06 14:38
作者の成長の跡がかいま見える。
今までの論理一辺倒から、徐々に動機や人間関係に焦点を当てていってる。
もちろん解決に至るまでの、事実の綻びを細かく追求していきながら論理的推理を展開していく流れは健在である。
しかしながら、ドイルの名作に対するオマージュとしては、いささか独りよがりの面はあるが。
全体としては及第点の佳作。ドラマとミステリが高い次元ではないが、結構バランスしている。ミステリ好きなら、もの凄い興奮や感動はないが、じわりじわりと面白く読めるだろう。

No.4 8点 双頭の悪魔- 有栖川有栖 2001/11/28 17:43
路線として、ひたすらにロジックを追求する有栖川作品だが、火村シリーズと比べても江神シリーズの方が、より論理性に重きを置く傾向が強いと感じる。
そして、その江神シリーズも3作目にしてようやく一人前の手応えを得たと感じる。
まず、シリーズ1作目が作者の処女作という点からも、文章や構成の熟度が格段に上がっている。
そして、構成という点では、2箇所の隔離された各舞台でそれぞれ別々に起こる殺人が、終盤でものの見事に解決へと結実するこの設定は秀逸である。また、論理的解決のカギを握る決定的根拠は、相変わらず作中に鏤められた描写のディテールを抉ってやっと手に入れられる伏線にあり、このクイーン的手法が気持ちよく決まっている。
さらに、作中で登場人物達が繰り広げる推理合戦もなかなかに興味深く、ミスリードを踏まえた彼らの言動が、読む物を飽きさせないアクセントとなって作中の舞台に読者を移入させている。
しかしながら、これらはあくまで論理的解決を主眼に置いた評価であり、トリック云々の話になれば、これは誠にお粗末という他はない。
まあ、方向性として有栖川作品は、目新しいトリックを目指しているわけではなく、私自身、無理矢理な物理トリックを持って作品の背骨とするより、こういった論理性を第一に考えた作品が元より好きなので、その中では、何と言っても前述の2段構成の結実が見事と言うほかないこの作品は、今のところ有栖川作品では?1である。
このように私の好みと作品の方向性が見事にマッチしていますが、さらにまだこの上を行く作品が出来ることを期待して、この評価です。

No.3 8点 マジックミラー- 有栖川有栖 2001/11/28 13:50
解決に当たり、複数の回答が思いつく中、どれも決定打が思い浮かばない。そんな中、突然あらぬ方向から湧いてきて、小説全体を締める最終幕に、かなり感動した。凄いとすら思った。このプロットは既存ミステリと比べても相当な位置にあるのではないでしょうか。
しかしながら、イマイチ記憶に薄いの何故だろう。
普通に話をしている中で、「私のベスト10」みたいなものがあっても、この作品の名前は出てこないだろう。私も、今あらためて採点のために記憶を呼び返し、見つめ直した結果、やっと作品自体の出来に感心するに至った次第なのである。
うーん、何故だろう。その理由が定かではないため、とりあえずその点は無視して高評価にしました。

No.2 2点 ダリの繭- 有栖川有栖 2001/11/28 13:35
本当に同じ作家が描いたのだろうかと疑いたくなるほどの作品。
有栖川作品全般に通じる、唯一だが絶対的に評価できる点である「論理性」が、全作品中最も希薄。それも、意欲はあるが失敗したという程度ではなく、その存在すら曖昧であった。
うーん。その後の作品を見ても、これほど酷いのはない。作者は、一体どういう心境でこれを世に送り出したのか。トリックや動機や犯人の意外性や舞台設定とか、その他の点に見るべきものが在れば、それなりに描く気も読む気も起きるだろうけど・・・。
私自身、本が好きなので比較的どんな作品でも愛してしまう傾向にあるが、これは酷い。既存の推理小説全体から見ても、かなりの駄作。趣味や好みを超えて言い切れてしまう。
しかし、悪意や嫌悪は感じないので1点は避けました。

No.1 6点 月光ゲーム- 有栖川有栖 2001/11/28 13:19
江神シリーズの処女作(作者自体もデビュー作)として、後発物(双頭の悪魔)を先に読んでから手を取ったので、キャラクター云々については無理なく溶け込めた。
皆さん、やはりというような辛口批評が多いが、クイーンを彷彿とさせるようなディテールまで追求しなければ解けない謎と論理的解決、そしてそれを目指すべく構成される序盤からの伏線作りに、非常に好感が持てる。
人ぞれぞれ想いは異なるが、私にとってのミステリの理想型とは、こういう点こそが重要なんだとつくづく感じた。
しかしながら、作品自体の出来、成熟度云々を言わせれば、それは確かに熟されていない点が多々あることは、作者自身も認識している(かな?)とおりであるため、採点はこんなもんです。

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モトキングさん
ひとこと
推理で解ける設計が好きです。
中でも、何故か自分だけに解けない見事な設計が好きです。
好きな作家
島田荘司、鮎川哲也、有栖川有栖、森博嗣、エラリークイーン、アガサクリスティ
採点傾向
平均点: 6.06点   採点数: 78件
採点の多い作家(TOP10)
森博嗣(23)
島田荘司(14)
有栖川有栖(10)
東野圭吾(8)
綾辻行人(6)
西澤保彦(3)
岡嶋二人(2)
宮部みゆき(2)
殊能将之(2)