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テツローさん
平均点: 7.46点 書評数: 108件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.5 6点 そして二人だけになった- 森博嗣 2003/11/03 23:29
 ネタバレ込みですが。

 クイーンの「神の灯」の更に上を行く大トリック、それ自体は大層すばらしい。すばらしいのですが、何でそこまででまとめないのかぁーっ!! という文句が、やはりどうしても出てしまいますね。2人1役の部分や最後の落ちは、それだけで別の作品に仕立てるべきじゃないかなぁ、と。
 キャラクター的には、インタビューの部分の描写は割りと好きな描き方なのに、ストーリー部分だと少々鬱陶しいと感じてしまう。そこら辺りちぐはぐに感じてしまうのは、内的人格の違いという設定があるから、仕様がないのかもしれませんが。
 アンカレイジ脱出行の部分は、パニック物の映画みたいで良かったです。

No.4 8点 有限と微小のパン- 森博嗣 2002/07/03 23:18
 下の人の書き込みで「カタルシスに欠ける」とあるのを読んで、「犯人が捕まらないか、真相が公けにならないのかな?」などと考えてしまったが、読んでみるとそんなことはなく、10巻で起こった事件はきちんと解決していた。財力・資本力や、コンピューター・VR(ヴァーチャル・リアリティー)の技術力を駆使して、自分の思い通りに他人を支配しよう、全てを糊塗しようなどと考えてたやつが、(別の人間が)誇らしげに真相を犀川・萌絵と語り合ってるところを警察に聞かれて、全てばれるという、かなり間抜けな退場の仕方をしていたのは、むしろすかっとした。
 10巻で起こった事件の謎解き・トリックは、膝を打つものではなかったが、外国の作品に前例もあるし、特に酷いものとも言えないだろう。それより、ラストで犀川が真賀田四季の居場所を看破した際のロジックの方が、はたと膝を打つものだったと思う。クイーン並といったら言い過ぎ?
 1巻から続いている真賀田四季の件は、確かに公けにされることはなかったので、この四季というキャラクターにどういう想いを持っているかで、カタルシスを感じるか感じないか、分かれるのかも…。
 このHPに限らず、真賀田四季を「最も魅力的な犯人」とする意見は良く見る。僕はどうだろう? 読んでる最中は“怪物”とさえ思っていたかも。良い意味でも悪い意味でも。でも、10巻ラストの犀川との対峙シーンは、割と良かった。少々好印象の方に傾いた感じ…かな?

No.3 9点 数奇にして模型- 森博嗣 2002/05/26 03:00
 前半、二つの殺人現場に残された証拠・状況から、犀川・喜多・大御坊・萌絵が、また、三浦・鵜飼といった刑事達が、「一体何が起こったのか」を討議・ディスカッションする辺りがおもしろかたと思う。比較した訳ではないが、こんなに3章分だか4章分だかをかけて推理し合うというのは、このシリーズでは初めてではなかったか。西澤保彦「麦酒の家」、ケメルマン「九マイル」に通じるおもしろさなのではないかと… まあ、厳密には、討議だけやってる訳ではなかったが、もともと森先生が「麦酒」や「九マイル」を念頭に置いてた訳でもないのだから、例として出すのが違うのだが、僕の感想として、そう感じたということで。
 ラストの大立ち回り、犀川の機転は、見事と思った。解決は、読者への挑戦状を入れるのは、絶対無理だろうけど。
 後、印象に残ったのが、第2章で描かれた萌絵の心情、「新しい冒険が始まる予感」という辺り。リアリズム信奉者なら、本当に「不謹慎」と言うかもしれんが、我ら本格マニアであれば、充分共感出来る感情じゃないかと思う。

No.2 6点 まどろみ消去- 森博嗣 2002/04/07 00:11
 「誰もいなくなった」が良かった。どこが良かったかというと、ラストのそれぞれのキャラクターのポジションです。颯爽と(かどうかは?だが)謎を解く犀川。畏怖のまなざしで「あれが犀川先生か」とつぶやくミステリ研の面々。愛情と同時に探偵としての頭脳勝負でライバル心剥き出しの萌絵。ここら辺がすごく、僕にとってのツボでした。
 全体的には、SFっぽい不条理小説という性格の短編の方が多く、点数はこの程度。

No.1 8点 今はもうない- 森博嗣 2002/04/06 23:12
 嵐の山荘、2つの密室、姉妹入れ替わり、素人探偵達の推理百出。途中までは、一番本格本格していた。解決が…う〜ん…。
 でも、全体としては良いと思います。その全体の仕掛けに見事に引っ掛かったので。…この姪にして、この叔母ありか。

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テツローさん
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