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sophiaさん
平均点: 6.95点 書評数: 358件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.9 6点 金色の獣、彼方に向かう- 恒川光太郎 2021/10/15 21:28
文句なしに面白いのは歴史スペクタクル「異神千夜」だけです。「風天孔参り」は「夜行の冬」と「秋の牢獄」を足したような話。中盤まで面白かっただけに、オチをちゃんと付けて欲しかったです。「森の神、夢に還る」と「金色の獣、彼方に向かう」はいずれも超自然的な存在とシンクロする話です。この二話は抽象的で、私があまり好きじゃない方の恒川光太郎でした。

No.8 5点 真夜中のたずねびと- 恒川光太郎 2020/10/23 00:36
どの話も途中までは面白いのですが着地がいまいちです。現実的なサスペンスを描きたいのか、死者が蠢くようなホラーを描きたいのか、どっち付かずになってしまっています。どの話もあまり印象に残りませんし、各タイトルも的を射てはいません。この方はファンタジー色が強い作品じゃないと本領が発揮されないように思います。

No.7 7点 竜が最後に帰る場所- 恒川光太郎 2020/02/21 01:54
●風を放つ 5点・・・何か起きそうで何も起きない。
●迷走のオルネラ 5点・・・何これ。
●夜行の冬 7点・・・「秋の牢獄」の世界観に似ている。ラストがちょっと分かりにくい。
●鸚鵡幻想曲 9点・・・「白昼夢の森の少女」にも2編あったメタモルフォーゼもの。前半を読んでいて後半こんな話になるとは全く予想できませんでした。
●ゴロンド 8点・・・壮大な話。手塚治虫の「火の鳥」のよう。

何と言っても「鸚鵡幻想曲」です。これですよ、これ。私はこの作者にこういうのを求めているんです。下手に縛りのある連作短編より、ワンアイディアで作れる独立した短編の方が向いてますよ絶対。「迷走のオルネラ」は現実的な世界観でのぶっ飛んだ話でどうも受け入れられなかったです。

No.6 6点 南の子供が夜いくところ- 恒川光太郎 2020/02/12 00:17
前作「草祭」の南国バージョンといったところ。相変わらず各エピソードの関連性が薄い。どの話も面白くなりそうでいまいちならず、雰囲気を楽しむ作品に帰結しているのも同じ。「草祭」よりは引き込まれたのですが。連作短編全体を通した大きな流れと大きなオチが欲しい。ふむう。

No.5 5点 草祭- 恒川光太郎 2020/02/07 20:51
これはよく分かりませんでした。あくまで雰囲気を味わう作品なのでしょうか。5つの話は別個に成立し得て、「美奥」という地名で無理やりまとめた連作短編集という感じがします。「風の古道」や「神家没落」と似た話もありますし、「天化の宿」などはすごく面白くなりそうでならず残念。どうもこの作家さんの限界が見えてきたような。このまま読み続けて行っていいものかどうか。「夜市」や「秋の牢獄」や「銀の船」のような起承転結がはっきりしており切れ味の鋭い話が読みたいのですが。

No.4 6点 雷の季節の終わりに- 恒川光太郎 2020/01/20 00:11
「穏」の世界観は面白かったですが、全体の構成があまりよろしくないのかなあと。茜パートはもっと早く始めて欲しいですし、最後の最後にトバムネキが主人公みたいになるのがちょっと。この作者は短編の方が向いているような気がします。

No.3 7点 秋の牢獄- 恒川光太郎 2019/11/16 17:40
●秋の牢獄 8点
●神家没落 7点
●幻は夜に成長する 6点

何と言っても表題作でしょう。そうなった原因が何か存在して、それを解決することで解放されるというような展開を想像していましたが違いました。原因は不明。出口は見えているもののその先がどうなるのか分からない。絶望→希望→絶望→達観と経てからの終わり方が素晴らしかった。
しかし次の「神家没落」もそうですが、この方の作品の主人公は異常な状況を理解して受け入れるのが早くないですか?もう少し困惑したりパニックになったりするものじゃないのかなと思うのですが、敢えて淡々と描くのがこの方の特長のような気もしますね。

No.2 8点 夜市- 恒川光太郎 2019/10/03 22:28
表題作ほか1編を収録。日常のすぐそばに存在する異世界というコンセプトでしょうか。ホラーというジャンルではありますが人情話でもあり、おどろおどろしさはそれほど強くありません。2作とも大切な物を取り戻す旅です。どちらの話の異世界にも主人公の先達と言える存在があり、物語の重要なカギを握っています。結末に関しては「夜市」はどちらかと言えばハッピーエンド、「風の古道」はどちらかと言えばバッドエンドでしょうか。しかしどちらの話も一概にそうとは言えない温かい寂寥感を残して終わります。「白昼夢の森の少女」では「銀の船」が一番よかった私にとりましては、なかなか楽しめる世界観の2編でありました。

No.1 7点 白昼夢の森の少女- 恒川光太郎 2019/09/18 23:21
著者の作品を読むのはこれが初めてです。「変身」「再生」「永遠」といったテーマを持っていると思われる前半の話が面白かったです。中でも「銀の船」は突出して素晴らしい。後半の話になると趣はガラッと変わりますが、どうもオチがいまいちな話が多いです。あとがきで著者も書いている通り、寄せ集めの短編集なので仕方がないかもしれません。しかしながら、他の著書も読んでみようという気にさせるには十分な一冊でありました。

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sophiaさん
ひとこと
世評の高い物を中心に読んでいっています。点数はミステリーとしてのみならず、読み物として面白いかどうかを考慮して付けています。ジグソーパズルのような複雑な作品は苦手です。
好きな作家
米澤穂信 今村昌弘 方丈貴恵 知念実希人
採点傾向
平均点: 6.95点   採点数: 358件
採点の多い作家(TOP10)
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