皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ぷうばさん |
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平均点: 4.50点 | 書評数: 12件 |
No.12 | 5点 | 螺旋館の殺人- 折原一 | 2005/08/11 00:15 |
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この人は、叙述テクニックばかりがクローズアップされ、その「凝りすぎ」から一般のミステリファンにはあまり受け入れられないこともあるようだが、文体が(まどろこしい情景描写やウンチクも少なく)平易で非常に読みやすく、(ラスト前までの)ストーリーの「引き付け度」の高さもかなりのものだと思う。
本作も、この作者の似たようなパターンの1つに過ぎないかもしれないが、「ロンド」や「死角」に比べると、オチがスッキリと解かりやすく、暇つぶしには最適の一冊と言えるのではないかな。 |
No.11 | 5点 | 眼球綺譚- 綾辻行人 | 2005/08/04 23:28 |
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作者自らホラー集と言っているが「怖い」というより、とにかく生理的不快の追求に徹している。 ・「再生」 これは途中でオチが読めてしまう。(ショートショートなんかで時々見られるネタ) グロいけれど本質的には笑い話。 ・「鳴小池」 進化論的ズッコケ話。 ・「特別料理」 ふざけ過ぎ。人を気持ち悪がらせて喜ぶ、という作者の性格の悪さが遺憾なく発揮されている。最後の会話が想定外のブラックを効かせてくれる。 ・「バースデイ・・」 ブラッドベリ風幻想ホラー。クリスティの幻想短編にも似たようなテイストのがあったね。 ・「鉄橋」 こういう話くらいは現実オチにしてみてもよかったのでは。 ・「人形」 第1話同様、時々見られるパターン。 ・「眼球・・」 相当なグロさで眼を覆いたくなるシーンも多いが、話の構造は見事。 全編を通して、おぞましいことこの上ないが、根底にはどこか茶目っ気を感じさせる話が多い。 |
No.10 | 5点 | 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 | 2005/05/11 17:53 |
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計算し尽くされた構成、これでもかというガチガチのカムフラージュ(読み返すと「ようやルヨ」と笑える)・・・よくできた作品だと思うし、途中でネタを割り切る読者も少ないと思われる・・・が、多少なりともの叙述トリック経験者にとってこの話がそれ程アメージングなものとも思えない。 十角館や殺戮病の既読者が、これを読んでどれ程の衝撃を受けるものなのかわからないが、個人的には初めてチョコラーメンを食べた時と同程度であった。(チョコ味が突然ラーメン味に変化する!)
そもそもこのネタ自体、古今東西のショートショートや短編でチラホラ見られる(都築道夫、阿刀田高?、Fブラウン・・)もので、それをこれほどの長さに引き伸ばした本書が(いかにペンワークに秀でていると言えども)一昨年の二冠というのも首を傾げたくなる。(他になかったんだね) ただ、最後の超アグレッシブな人生観は楽しいし、スガスガしくさえもある。本作のトラップは読者をココへ導くために仕掛けられたのではなかったか、という読後感に誘(いざな)われたとしても不思議ではない。 |
No.9 | 5点 | 殺人方程式- 綾辻行人 | 2005/04/22 01:30 |
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館シリーズのようなゾクゾク感もなく、犯人の正体、犯行に至る動機や過程も、蒸し返しネタだが、これほど仰々しいタイトルで、それを裏切らないミステリも珍しい。(この点「人形はなぜ殺される」に匹敵)
ただ、こういうトリックを使うのなら始めの方でも、きちんとした図面表示が欲しかったね。(殆ど不要な館シリーズでは毎回キッチリやってるのにね) それが無いから、それまでの綾辻節を期待して読むと、「ふ〜ん、なるほどね」というプロミスのCMのような読後感に終わりかねない。あるいは「ミルコと戦ったのに、タックルで倒され関節を極められた」(興味ない方ごめんなさい)という感じ・・かな。 ところで、本作の舞台環境が、ほぼ同時期に出ている法月綸太郎の「誰彼」にかなり似ているのは単なる偶然ですかね。 |
No.8 | 5点 | 人形館の殺人- 綾辻行人 | 2005/04/05 17:15 |
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「〇〇〇〇だけは勘弁してくれ」と思いながら読み進めたものだが・・・・マンマ・・
〇〇・・は、その昔は画期的だったのだろうが、現代(少なくとも、新本格以後の)ミステリでは作家が「何とか読者を驚かせたいが、何も思いつかない」時の「シノギの術」―これがあれば、いとも安易に何でもできる―であり、更に本作は前3作をミスリーディングに利用している点などからも「省エネ作」の感は否めない。 作中の作家氏は、これを重々自覚している作者の(もちろん冗談半分の)懺悔の意思表示としてのスケープゴートでもあったかもしれない。 |
No.7 | 4点 | 黒い仏- 殊能将之 | 2005/03/08 14:50 |
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アーユーレディ? ノー、アイム・ジェントルマン |
No.6 | 2点 | なつこ、孤島に囚われ。- 西澤保彦 | 2005/03/06 13:34 |
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作者が、どこまで堕落できるか限界に挑んだ力作。 あるいは祥伝社への腹いせ。 |
No.5 | 5点 | どんどん橋、落ちた- 綾辻行人 | 2005/01/21 02:57 |
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綾辻さんが、こんなふざけた短編集を出していたとは、結構驚き。
表題作は、地形の設定に少々辟易したが、作中の綾辻氏より少しだけ早く(もちろん解答提示後)真相に思い至った時には・・笑えた。 『ぼうぼう森・・』は多数の登場物と、その関係、更に地図・・がうんざりだったので、ほとんど斜め読みしたが、真相には、まあ驚けた。 『フェラーリ・・』 前2話に続いて読むと、「よくやるよ」としか言いようがない。 『伊園家・・』 これほど登場人物の把握が楽な話はなく、始めの方は結構笑えたが、結末に至る頃には、その陰惨さに食傷気味。 『意外な犯人』 犯人の立場は簡単すぎる・・がその氏名はちょっとね・・・ 全編を通して感じられる本格に対するフェア宣言の「くどさ」や自虐的な自己表現からは、この人自身がこの時期、悩めるリンタロー状態だったことが窺われる。 |
No.4 | 6点 | メルカトルと美袋のための殺人- 麻耶雄嵩 | 2005/01/19 02:03 |
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内容が濃密な短編集だが、第2〜6話は「メルカトルの悪業集」とも言える代物。 『瑠璃鳥・・』はかなりの際物で、唸らされないこともないが、ルルーの名作を思い出させられないこともない。 『化粧男・・』はメルが言っているとおり、チェスタトンの一説が、面白くアレンジされている構成。『小人・・』も楽しいが、これもチェス・・に似た話があったね。 『水難』は・・ひど過ぎる・・いやしくも本格とされている?短編集に、こんな物を平気で書いてくるのは、この人ならでは・・なのか。更に『ノスタルジア』『・・美袋』と読み進むうちに、いつの間にか、メルの更なる悪行に期待している自分に軽い動揺を覚えながら、ラストの『シベリア・・』を読むと、やや拍子抜けするが、この作者が、こんなに推理小説らしい緻密な(少し古臭い)論理ものを書いたことに別の驚きがあったりもする。 まあメルカトルが、この世の人間でないとすれば全てアリ。 |
No.3 | 5点 | クール・キャンデー- 若竹七海 | 2005/01/14 00:12 |
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落とし所は、クリスティの有名な短編と似ているし、もっと有名な長編のエッセンスが入ってたりもする・・・が、事故現場やアパートの描写なんかは、やっぱりアンフェアな気がする。
だけど手軽に気分転換できたので、ノーコンプレインツ。 |
No.2 | 2点 | 今夜はパラシュート博物館へ- 森博嗣 | 2005/01/05 01:41 |
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空き時間用に携帯して、ちょこちょこ読んだのだが・・・何もしないでボーっとしてた方がよかった・・。
最初の「どちらが魔女」は、苦しまぎれに書いた子供だましのネタを、最後に正当化しようとしているのが一層、見苦しいし、次の「双頭の・・」は何を言っているのか、わからなかった。(とても読み返す気にはなれない) 「ぶるぶる・・」は森ファンには、たまらないだろうと想像はつくけど、それほどでもない読者には、退屈な手品ごっこに過ぎない。 いっそのこと、全部「ゲームの国」みたいなバカ話にしてくれれば、と思いつつも「私の崖・・」は、やはり見え見えのネタを補うべく、ホラー味をチョコンと、乗っけただけ。 「卒業文集」は唯一、最後に驚けて、ちょっとだけエンターテインド。 続く「恋の坂・・」も、驚かし系?か、よくわからず意図不明。 最後の「素敵な・・」は、作者の個人的な感傷に共感できる人だけが浸れる話。 時間つぶしに、この本を選んだ自分が悪かったかもね。 |
No.1 | 5点 | puzzle- 恩田陸 | 2004/12/15 01:24 |
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日本中、いや世界中のどこかに、高層マンションや映画館の廃墟がある無人島ってあるの? でも軽く読めて、コーヒー一杯分くらいは楽しめた。 |