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たかだいさん
平均点: 5.11点 書評数: 159件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.11 6点 幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/03/22 12:23
毎年何かしら人体の不思議を医学的検知から謎解きに組み込んで読者を楽しませてくれる人気シリーズの一つで、今回のテーマは幽霊騒動と透明人間
術後の手術室にて、麻酔科医が見えない何者かと争い、首を切り裂かれるというまさに透明人間の仕業としか思えない魅惑的な謎がメインであり、それに加えてその手術室に患者として居合わせたという理由からあの人が最重要容疑者にされるという特大のオマケ付き
個人的に透明人間の謎に関しては、ちょっと無理がないか?と思いつつ、それはそれとして面白い真相だったなという感じ。むしろ、結果的に裏目に出たとは言え、最後まであがない、そして患者を気遣う事を忘れなかった麻酔科医がかっこいいなと思った。亡くなられたのが非常に残念な良心的なキャラクターです

No.10 4点 生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/03/17 23:10
今回は臓器移植がテーマとなる話で、臓器コーディネーターが襲われ移植用の臓器を強奪される凶悪事件の真相に迫る内容
割と胸くそ系のストーリーで、臓器を奪った黒幕の目的だとか、臓器強奪の実行役を担う半グレの集団だとか、その他諸々で嫌な気持ちにさせる陰鬱さが本作にはあった気がします
とは言っても別に嫌ミスって程ではなく、あくまでこのシリーズの他作品に較べて嫌な要素多めかなって程度ですが…
あと、古代エジプトの死生観についての話は興味深い一方、今回に関しては病に関するあれこれはあまり期待出来ません
話の規模は大きめですが少々期待はずれっていうのが個人的な総評です

No.9 7点 ヨモツイクサ- 知念実希人 2025/03/16 13:02
アイヌの伝承とバイオホラーをうまく融合させ、そこにミステリー要素も掛け合わせたホラーの大作といった作品
タイトルにもなっているヨモツイクサをはじめ複数種の化け物が登場する為に読んでいて(種類の区別が)訳がわからなくなる部分もあったものの、人を襲い喰らう正体不明の化け物としての恐怖感はあったので満足出来ました
また、著者が医師だからか医療的な観点から化け物の存在にアプローチする場面があったかと思いますが、その辺りにもフィクションの中にもリアリティが感じられて個人的には好感が持てました
クライマックスのミステリー的な仕掛けも併せて、バイオホラー物としてはここ最近で一番面白かったように思います

No.8 6点 蘇る殺人者 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/02/09 05:27
今回のテーマは、死者蘇生といった所でしょうか
連続猟奇殺人が起こり、犯人の目星も付いている。唯一、問題なのはその人物は既に死んでいて、しかも、その死亡判定をしたのが他ならぬ天久鷹央その人であるという一点
読んだのが一年くらい前なのでうろ覚えですが、確かそんな筋書きだったかと思います
本作も例に漏れず、ミステリーとして楽しみつつ、人体の不思議を純粋に学べる内容となってます。まして今作のような事例は医療関係者でなければ知る由もない内容ながら、「そんな事が起こるんだ」という関心度合いはシリーズ中でも屈指の印象で楽しめました

No.7 8点 久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/02/04 08:27
個人的には、今の時点でこのシリーズ作品中最も好きな作品
本作では、ある意味で医療ミステリーらしい「不老不死」をテーマに挙げている
昔と寸分変わらぬ幼さすらある容姿で現れたアイドルの少女。あまりの異様さに鷹央先生が呼ばれるも、彼女の身内によるガードで、詳しく調べる事も難しい。そんな中、当の少女は崖からの飛び降りを生中継しながら、その場で蘇生して見せ、世間を熱狂させていく
十何年経ても容姿が変わらない不老、一見生存不可能な飛び降りからの復活。そこに、倒産した芸能事務所の敷地から見つかったタイムカプセルに入れられた遺体、海から打ち上がった謎の女性の腐乱死体まで係り、いかにも現代的な企みまで見えて来る
1冊に納めるには中々の詰め込み具合だと思う。それらを破綻なく収束させ、不老不死の真相は興味深く、追い詰められる黒幕にカタルシスを覚え、ある意味で一番の被害者とも言える人物にも希望が与えられて幕を下ろす。綺麗に、すっきりとした終わり方に満足です

No.6 3点 神話の密室 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/02/03 00:43
現役の医師でもある著者による人気シリーズの一つで、お固そうな医療ミステリーでありながら、専門用語や聞き慣れない病名が絡みつつもライトな語り口で堅苦しくなく楽しめる実績ありきのシリーズ
今作の場合、『密室』にフォーカスした中編2本で構成され、『閉鎖病棟で酔っ払ったアル中患者』(物理的な密室)と、『衆人環視の場で急死した選手』(状況的な密室)という毛色の異なる密室の謎が楽しめる
だが、(特に前者に言える事だが)本作はどちらかと言うと事件カルテというより推理カルテ寄りな内容で、正直あまり楽しくはなかったというのが正直な感想です

No.5 5点 吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2025/01/11 08:32
アニメの放送も好調な知念実希人の「天久鷹央の推理カルテ」シリーズの一つで、今回は『吸血鬼』をテーマに挙げている作品
失血死した外国人が発見された事を機に傍若無人な鷹央先生が謎の解明に乗り出し、いつも通り、『吸血鬼』と病の関わりが暴かれていく流れは最早、安定感すらあって気軽に楽しめる
尤も、今回の話では海外実習生制度の闇や、それに伴う反社組織による組織犯罪にも焦点が当てられる都合上、若干の重さがあった気はします
シリーズを通して突き抜けた魅力は弱い印象ながら、安心して楽しめるクオリティではあったかと思います

No.4 5点 魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ- 知念実希人 2024/12/19 07:16
廃病院を舞台に、そこで立て続けに起きた飛び降り事件の真相を追う「事件カルテ」シリーズの一つ
勿論、真相は自殺ーーという事はなく殺人なわけで、被害者を突き落とした「不可視の弾丸」が事件の肝となる
結果的に、指先一つで人間を突き落としてみせた今回の「病」はなかなか興味深かったです
そんな病気があるんだ、と毎回知識欲というか好奇心がくすぐられる本シリーズですが、本書の病も人体の不思議という意味で非常に面白かった

No.3 6点 天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟- 知念実希人 2024/12/19 02:36
以前のレビューで、殺人事件を扱った「事件カルテ」と比べてあまり好みではないと言った「推理カルテ」の2冊目にあたる本書
毒を盛られたと訴えるトラック運転手、病棟を徘徊する吸血鬼の謎、病室に降臨した天使といった不思議な現象に対して、本シリーズの探偵役「天久鷹央」がズバリと診断を下します
相変わらず、病気とは一見関係なさそうな謎から驚きの病巣が指摘される辺り、シリーズ独特の面白みが感じられる
それに加えて本書の場合、性格というか人間性に難がある鷹央の意外な弱さ、人間臭さが描かれている点でもポイントが高いと思っています
あまり好みではない「推理カルテ」の中では例外的に好印象な1冊です

No.2 4点 天久鷹央の推理カルテ- 知念実希人 2024/12/07 05:03
現役の医師でもある著者による人気シリーズの一つで、アニメ化も決定している作品の第一弾
お固そうな医療ミステリーでありながら、専門用語や聞き慣れない病名が絡みつつもライトな語り口で堅苦しくなく楽しめる、実績ありきのシリーズとなります
医療ミステリーなのに河童や人魂という一見噛み合わないテーマが基にある話であったり、少女による不可思議な妊娠という重い話もあり、医療ミステリー定番の派閥争いや医療ミスを巡るごたごたもありで、いい感じに話の振り幅があって飽きはこない
ただ、個人的には同じ天久鷹央シリーズでも医療関連を主体とした「推理カルテ」より、殺人事件も絡んでくる「事件カルテ」の方が好みです
正直、このシリーズを最初に読んだのがこの「天久鷹央の推理カルテ」だったなら後の続編には手を出さなかったかも知れません
最初に「事件カルテ」の方を先に読む機会があり、その後に本書を手にした者が読んだ感想としてはそんな感じです

No.1 9点 硝子の塔の殺人- 知念実希人 2024/11/21 06:35
個人的に好きな作家の一人である知念実希人作品という事で、発売当初から期待しつつ最近(と言っても2〜3ヶ月前だが)ようやく読む機会が持てたので、早速、一気読みした
そんな者の感想としては、率直に言って今まで読んだ知念実希人の作品の中で一番好きかも知れない
元々殺人を企てた者が余計な罪まで着せられる事を恐れ、いわゆるワトソン役を自ら買って出て探偵に真相を推理させようとする
この構図が結構珍しくて好きな一方、塔の性質を利用した大小様々な仕掛けが散りばめられていてトリックの観点からも不満は無かった
真の真相とでも言うべき最後のどんでん返しも鮮やかに決まっていたと思うし、やはり知念実希人の作品中、最も面白い(現時点での)最高傑作は本作だと個人的には思います
小ネタとして、著者の他シリーズの人物に軽く触れられている箇所があり、他にもネタを知っているとニヤニヤできるような遊び心があるのも魅力の一つかなと思いました

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