皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
みりんさん |
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平均点: 6.65点 | 書評数: 260件 |
No.6 | 6点 | 笑え、シャイロック- 中山七里 | 2023/10/26 20:43 |
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不良債権の回収を務める渉外部の銀行員が中心のお話。横山秀夫『クライマーズ・ハイ』とか池井戸潤と同じように"プロフェッショナル-仕事の流儀-"系。
【ネタバレがあります】 回収担当として辣腕を振るう上司山賀からその志を受け継いだ主人公結城が如何にして理不尽な不良債権を回収するのか楽しめます。主人公と相対する債権者も画家や技術職社長、新興宗教、ヤクザと幅広く、銀行事情について非常にタメになるし面白い。 ミステリとしては一応殺人事件は起こるが少々無理やりのフーダニット。ミステリ要素は無理に入れなくても、ずっと山賀と結城の2人コンビでやっていっても良かったんじゃないかなあと。エピローグの締め方は素晴らしい。 仕事の流儀系では今のところ一番好きかも。 |
No.5 | 3点 | 復讐の協奏曲- 中山七里 | 2023/06/21 00:35 |
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ネタバレあります。
『悪徳の輪舞曲』の書評で洋子の素性について「日下部洋子=御子柴更生のきっかけとなったピアノの少女」だと予想していたので、今作で洋子が依頼人となった時に「ヤレヤレ…また当ててしまったよ」と天狗になっていたら全然違ってましたね〜 そんなことはさておき4作目までは全部面白かったのですが、今作ちょっと微妙。残りの50ページほどでようやく裁判が始まり、まさかの第二公判で物証の瑕疵を後出しで指摘するとたちまち逆転。いつもの御子柴と検事との巧緻を極めた攻防もなし。ミステリとしてはかなりプロットが脆弱。そして見落としがなければ協奏曲という言葉が一度も出てこなかったのでそこも残念… 御子柴・倫子・洋子・宝来などキャラクターに愛着は湧いてくるのでまあ良いか |
No.4 | 6点 | 悪徳の輪舞曲- 中山七里 | 2023/06/17 14:47 |
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今までちょくちょく描かれてはいたが今回は「加害者家族」に焦点が当てられた作品。梓や郁美の過去は少し読んでいて辛いところも…
珍しく冒頭の仕掛けにはすぐ気づけたが、当然真相は看破出来なかった。槙野のやらされた法廷でのシミュレーションはシュールでその場に居合わせたくなりましたね笑 ところでピンと来たことがあるんですよね。被害者遺族・少年院の指導官・母娘と今まで御子柴にとって超重要なポジションの人たちが依頼人となっているわけですが、未だに素性が明かされていない超重要なキャラクターがいるのです。そう、御子柴更生のきっかけとなったベートーヴェンを演奏していた少女ですね。これ御子柴の事務員の洋子さんではないか?と予想しておきますよ。 |
No.3 | 6点 | 恩讐の鎮魂曲- 中山七里 | 2023/06/15 00:34 |
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「お前の贖罪の仕方と俺の贖罪の仕方が違っていただけの話だ」
御子柴礼司シリーズ本当にハズレがないですね。 ミステリーとしてはこの点になってしまいますが、贖罪というシリーズ共通のテーマをここまでうまく物語に落とし込む作者の手腕が素晴らしいと思います。ラストに倫子が登場するサプライズも良い。 いや〜しかしモーツァルトのLacrimosaはピアノ演奏描写が今作にないのが悔やまれる程名曲だ。 |
No.2 | 8点 | 追憶の夜想曲- 中山七里 | 2023/06/13 08:47 |
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小説という媒体と法廷ミステリーがここまで相性が良いのを知らなかった。御子柴と検事の法廷でのやりとりは目に浮かぶほどイメージがしやすく、御子柴の心情の記述・優勢劣勢が入れ替わるごとに一喜一憂してしまう。
メインの事件に関しては贖罪の奏鳴曲の方が凝っていると感じたが、こちらはシリーズだからこその満足感が得られる。倫子のこれから先のことを思うと可哀想だ。 うん他の方もおっしゃっているように亜季子がハナから毒婦として世間に認識されているのには違和感がある。『時流に乗ったのを己の能力ゆえと過信して』無職になったことを受け入れないまま、3年間プライドだけが一流の引き篭もり。証券担保ローンで借金地獄、娘の教育は放棄、妻がパートで帰ると妻子に暴行を振るう。贖罪がテーマの小説を読んだ後に言うのもなんですが、正直こんな奴殺されても当然じゃないですか? 追記:同シリーズの他の作品との完成度を比較すると一律7点というのはおかしい気がするので、+1点しておきます |
No.1 | 7点 | 贖罪の奏鳴曲- 中山七里 | 2023/05/29 22:21 |
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音楽ミステリかと思って読むと法廷ミステリだった。なぜかリーガル・ハイを思い出したなあ。
結構長い演奏シーンは要らないといえば要らないんだけど、「熱情」よりも「月光」を聴きながら読むと没入感あって良いですよ。 "贖罪"というテーマ、難しいけれど少年院の描写のおかげで御子柴の親子への献身の動機も理解しやすい。後味は悪いが、確実に読んで良かった作品。 |