皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ROM大臣さん |
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平均点: 6.07点 | 書評数: 149件 |
No.2 | 9点 | 山猫の夏- 船戸与一 | 2022/01/20 15:44 |
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ブラジル東北部の憎しみの町エクルウを舞台に、山猫と呼ばれる日本人が、対立するビーステルフェルト家とアンドラーデ家の確執をかきまわすこの壮大な物語は作者の集大成といっていいだろう。対立する両家の長女と長男が駆け落ちし、その捜索を依頼されたのが山猫とサーハン・バブーフで、つまりこの作品は「ロミオとジュリエット」であり、日本人青年の成長物語である。
この小説が開放感と躍動感に満ちているのは、男たちが退屈な日常からはみ出し、自由に呼吸しているからで、力強さに溢れているのは、はみ出したことをだれもが自らの意思で選び取っているからである。そこにはダンディズムという言葉でこぼれ落ちてしまう根源的な汗の匂いと、決してふらつかない強固の意思の響きがある。 作者の凄さは、国境を越えたそういうはぐれた男たちの肖像を、気張らずに淡々と描いているところだろう。 |
No.1 | 7点 | 猛き箱舟- 船戸与一 | 2021/06/14 15:03 |
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野心に燃えるひとりの青年の壮大なる成長譚であり、あまりに壮絶で哀しい愛情の物語であり、そして最高の復讐の物語である。
これぞ欺瞞と醜聞が吹き荒れる世で魂に火を点けたい者たちが携えるべき狂暴なる聖典だ。 |