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ROM大臣さん
平均点: 6.07点 書評数: 135件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.3 6点 雷鳴の館- ディーン・クーンツ 2022/10/05 16:46
囚われの乙女を襲う謎めいた怪異の数々というゴシップ・ロマンスの伝統的スタイルを踏まえながら、作者はヒロインを「まな板の上の鯉」的な極限状況にいきなり放り込み、不条理極まるシーンを次々と直面させることによって、ゴシック特有の冗長さを排し、緊迫感あふれるストーリーを展開している。
神も仏も畏れぬ結末のつけ方は、作者らしい。

No.2 5点 コールド・ファイア- ディーン・クーンツ 2022/07/25 14:18
いかにも作者らしいテーマや道具立てが詰め込まれた作品である。「命綱」という言葉が閃くや、不思議な啓示に導かれるまま、事故や犯罪の現場に駆け付け、死すべき運命にある人々を救うスーパーマンさながらの主人公。一歩間違えばギャグにしかならないような着想を大真面目に展開し、あっという間に読者を術中に取り込んでいく。
本作は、既に使用済みのテーマや道具立てを、全く意外な角度からひっくり返してみせるという荒業に挑んでいる。その手際の鮮やかさには敬意を表する。

No.1 5点 ストレンジャーズ- ディーン・クーンツ 2021/12/06 15:23
ストーリーがどういう方向に進むのか、すぐには予想もつかないクーンツ得意の手法で冒頭から惹きつけられる。新進作家が、美しい女医が、退役軍人が、いたいけな少女が...と全米各地で、ある日突然、理由のわからぬ恐怖に脅かされる事態が続出する。彼らの記憶には欠落した一期間があり、皆が皆、その時何か途方もない恐怖に見舞われたらしいのだ。
多彩で個性的な顔ぶれが、孤立した状況を脱し、互いに連絡を取り合って「事件」の起きた現場へ集結するという胸躍らせる展開といい、それぞれのキャラクターにまつわるサイド・ストーリーの魅力といい、本書の前半は文句なく面白い。
しかしながら、得体の知れぬ恐怖の実態が明らかになってからの後半の展開は、前半で膨らんだ期待が大きかっただけに、少々凡庸な印象は免れない。

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