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ROM大臣さん
平均点: 6.07点 書評数: 135件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.2 6点 評決- バリー・リード 2022/11/29 14:48
物語の主人公は、ボストンに住む弁護士ギャルヴィン。妻子を持ちながら、愛人との情事にふけり、酒に溺れ、もはや破滅寸前の状態だった。そんな彼が再起をかけて取り組むことになったのは、ある医療過誤事件だった。
物語はまず、ぼろぼろの状態だった主人公の状態から語られていく。弁護士会から資格を剥奪される寸前だったギャルヴィンは、自分を一人前の弁護士に育てた恩師カッツ・モウ老人を訪ねる。そして恩師との再会により気を持ち直した彼は、入院している原告の女性に会いに行く。短い場面だが実にこの場面こそ、読者の心をつかむ重要なシーンだろう。そこから先の物語は、医療過誤専門の弁護士として豊富な知識と経験を持つ作者の独壇場だ。原告側、被告側ともに、ありとあらゆる手を使って言い分を主張し、証人への尋問から有利な証言を得ようと奮闘する、法廷小説の醍醐味に満ちている。
いくつものエピソードを配しながら、真実を裏付けるために行うギャルヴィンの努力と闘いが感動的。

No.1 6点 決断- バリー・リード 2022/08/26 12:51
ギャルヴィン弁護士のオフィスに、駆け出しの弁護士ティナが訪ねてくる。薬の副作用で使用者に先天性欠損症のある子供が生まれている。責任をとらない製薬会社に訴訟を起こしたい。新米弁護士の力ではどうにもならないので、自分の代わりに訴訟を引き受けてほしいというのだ。
前半はティナの正義感による薬害訴訟と、あまり動きのない裁判手続きに終始するが、後半に入りこの裁判はイギリスに移り訴訟の可否を左右する関係者が、次々と不可解な死を遂げ、サスペンスが強まっていく。
好男子でその正義感に魅力あるギャルヴィン弁護士。そのラブ・ロマンスもとかく硬く難しくなりがちな法廷ドラマを和らげている。裁判の緊張感を保ちながら意外な結末が待っている。

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