皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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Kingscorssさん |
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平均点: 6.42点 | 書評数: 96件 |
No.2 | 7点 | 黒いトランク- 鮎川哲也 | 2020/09/11 23:04 |
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2002年発行創元推理文庫版を拝読。小説の出来はいわずもがな。とても完成度の高い典型的な列車を使ったトリックもの。
内容に関しては文句のつけようもないのですが、個人的に列車ミステリー大の苦手です… 鉄道マニアではない自分には、トリックとかより、時刻表を見て細かい時間を追うのと、なんといっても馴染みのない地名と場所を把握するのが苦痛すぎるからです… この傑作、黒いトランクも例に漏れず、途中時刻表を使った説明の部分で何回か挫折しかけました… いや、ちゃんと理解できる方々にはいいんでしょうが、自分みたいな時刻表見ただけでパニクる低能には完読するのが大変でした… せめて列車の時刻表と地図を全部巻頭におき、列車の乗車時刻等を全て漢数字でなくアラビア数字で表記してほしかったのと、地名には面倒でも全部都道府県を毎回つけて欲しかったです。地理に疎い自分には拷問でした… 常にえっ?今何処?何処?(゚Д゚;≡;゚Д゚)!? 状態でした… 内容9点、ややこしいトリックが−2点で7点で。すいません。またいつか機会があったら再読したいです。 ※この2002創元推理文庫版、文末解説374ページ上段13行目の鬼貫が鬼貰になってます… まぁ本編じゃないからいいんですが… |
No.1 | 8点 | りら荘事件- 鮎川哲也 | 2020/09/09 14:57 |
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最初に書かないといけないのは、自分が読んだのは講談社文庫1992年版です。あとがきに書いてあったのですが、旧版から新版ではかなり書き足しや推敲があって面白さが全然違うらしいです。見分け方は8章が『暑い街で』なのが新版、『由木の出京』が旧版らしいです。作品名の違い(りら荘事件、りら荘殺人事件)では見分けられないらしいので注意。今回自分が拝読したのは新版です。
いや、素晴らしかった。これぞ本格という醍醐味を存分に味わった。一番すごいと思えたのは、最後まで中だるみがなくのめり込んで読めた点。新版で推敲済みだからか、ほぼ冗長な部分がなく、最後の最後までこんなに没入して本を読んだのは久しぶりだった。 トランプを使ったトリックや心理的伏線等もすばらしく、それら一つ一つでも一本短編ミステリーかけるぐらいなのに、贅沢に全てを無理なく融和させている、本格のお手本のような作品。しかも全く古さ(60年前だよ…すごすぎ)を感じさせない手腕はさすが御大、鮎川哲也だと感心しました。 当然、それはちょっとやりすぎじゃない?ちょっと犯人の機転が効きすぎじゃない?動機としてそれどうなの?なんで〇〇なの?等、本格に必ずついて回る非現実的乖離問題はもちろんあるが、他の本格に比べれば全ては大分現実的であると感じ、とくにアンフェアなものもなく、テンポよく最後まで読み進めれます。かなり最後の方までガンガン事件が起きるが、その反面、全く事件の全容が見えてこず、これどうやって着地するの?と不安になりますが、みごと気持ちよく謎が氷解します。 日本ミステリー史に確実に残るである名作なので未読の方、旧版の方しか読んでない方は是非(新版の方を)読んでみて下さい! 最後にひとこと。二条さん… (ノД`)シクシク こんなピエロ今まで見たことないよ… いいキャラしてたよ… あんた… |