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Kingscorssさん
平均点: 6.42点 書評数: 96件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.7 4点 子どもの王様- 殊能将之 2020/08/29 12:50
殊能将之さんの大ファンです。点数は甘めです。

ハサミ男、石動戯作シリーズ以外での殊能将之さんの完全新作。そして悲しいことに殊能将之さんの絶筆となります。(ノД`)シクシク

子供向けのミステリーランド作品として世に出た今作ですが、はっきり言ってしまって、あまり出来が良くありません。子供向けのためかミステリー部分がかなり薄味で弱く、内容も大人向け?のためか結構陰鬱になっており、どちらも中途半端で作品が弱いまま終わってしまっています。所々で殊能さんのセンスが光るも、文体は基本的に子供目線のためかいつものキレがなく、ファンとしては悲しいぐらいダメダメなものになってしまっています。

ジュブナイルものと思えば読めないこともないのですが、殊能将之ファンが望んでいるのはこういうのではなく、新しい殊能将之をファンに見せる前に49歳という若さで逝去されてしまったので至極残念でなりません。

未だに死んだの実は嘘だよーってヒョコッと石動戯作のようなノリの軽さで戻ってきてくれるのを願うばかりです。。。殊能先生、実はペンネーム変えて小説出版してるんですよね?そう言ってください!未だに先生のTwitterを時たまチェックしてます。『んじゃまた』って呟いたのが最後とか悲しすぎる(ノД`)シクシク

No.6 6点 キマイラの新しい城- 殊能将之 2020/08/29 12:32
殊能将之さんの大ファンです。点数は超々甘めです。

石動戯作シリーズ五作目(樒/榁を抜くなら四作目)にして最終作。。。悲しすぎます。もう石動戯作を二度と読めないなんて。。。(ノД`)シクシク

今作も割とぶっ飛んだ設定で、中世の騎士が現代に精神だけタイムトリップ?してきます。なんと中世で起こった事件を現在の日本で石動戯作が捜査するというトンデモ事件。この設定だけ見たら完全なバカミスっぽいので、またか。。。と黒い仏を思いだす人が多いでしょうが、きちんとした裏付け、理由、動機と今回は真面目に本格ミステリーしてます!

…とはいえ、石動戯作シリーズはユルさが売りなので、相変わらずのらりくらり真相に近づく過程がダルい場面、冗長なシーンも多く、テンポもそんなに良くないので全体的に完成度は高くないと思います。。。ただ、今回も登場の元名探偵の水城さんはやはりキレキレでカッコいいし、殊能将之さんのセンスを味わえる作品なのでファンは必読ですね!

個人的にはあまりファンタジーやSF要素が好きではないので他の石動戯作シリーズよりは評価が低いです。でも水城さんが出てきたのでおまけで+1点です!

No.5 7点 樒/榁- 殊能将之 2020/08/28 23:57
殊能将之さんの大ファンなので点数は甘いです。

今作は火サスみたいな脱力系旅情ミステリーです。前作『鏡の中は日曜日』のスピンオフ作品的立ち位置ですので、この本のみ読んだ方の評価はあまり良くないかもしれません。ミステリー要素も大したものではなく、内容もページ数もかなり薄いです。その証拠に『鏡の中は日曜日』の文庫版では同時収録になってます。超お得ですね!!

なので、『鏡の中は日曜日』に登場する二人の名探偵、石動戯作と水城のキャラクターファンBOOKと思って下さい!完全におまけ小説です。そう思って読めば二人の性格や仕草、考え方がよくわかり、かなり楽しめるはずです。トリック等は薄味ですが、構成はうまくまとめてあるので、その辺はやはり殊能さんの才能の為せる技でしょうか。

当然気づいてるとは思いますが、タイトルにも秘密があります。本当、殊能将之さんはセンスありすぎ。

前作の『鏡の中は日曜日』を読まずに単体でこちらを読むと前作のネタバレになってしまうので必ず前作を読んでからか、『鏡の中は日曜日』の文庫版を買って読んで下さい!

No.4 9点 鏡の中は日曜日- 殊能将之 2020/08/28 23:27
殊能将之さんの大ファンです。点数も超甘めです。必ず文庫本の方で読んで下さい!

石動戯作シリーズ第三段の本格ミステリー。前作の黒い仏はバカミスだったので、そこで殊能将之さんを読むのやめた人結構いると思うと残念なんですが、今作はめちゃくちゃ切れてます!

ファンとして、氏の最高傑作はハサミ男でなくこの作品だと断言できます!ただ、ただね。。。条件付きなんです。。。それは、石動戯作シリーズをちゃんと前二作読了してて今作を読んでること。既に手垢のついているあの叙述を許せるかどうか。殊能将之さんの洗練されすぎた文章(洗練されすぎて逆に読みにくいところが多々ある)に耐えれるか。

(´ε`;)ウーン… 条件たくさんあるなぁ。。。

内容は、帯とかにも書いてあるんですが、冒頭でいきなり石動戯作は殺されます。衝撃的です。そこからどうしてそうなったかの話になり、そして二人目の名探偵、水城優臣が登場します。この探偵、最初はあまり好感持てないんですが、真相まで行くとめちゃくちゃ魅力的になるんです!一方、今作も石動はかなりマイペースなユルいキャラです。対して水城はキレキレです。過去に水城が解決した事件を現在の石動が再調査という形で話は同時進行します。このへんの構成がまためちゃくちゃうまいんです。そして石動戯作殺害の真相がまた衝撃的なんです!これ以上語れないのがつらい。

とにかく最後の真相(元名探偵の水城)がかっこいい!やられた感半端ない。そして少しホロリとする。最高の読後感。

前作黒い仏で本を投げてしまい、脱・殊能将之になった人も是非読んでほしい。この本読まないのはもったいなさすぎる。。。評価の低い方の理由もわかるです。”アレ”が許せないんですよね?わかります。でもアレ抜きでも面白いと思うんです。未読の人、必ず美濃牛と黒い仏読んでから読んで下さい!!

ここまで絶賛してしまいましたが、作名はもっと内容が推測しやすいもののほうがよかったんじゃないかなぁと思いました。未だにあのタイトルの意味わからない。。。
梵貝荘殺人事件とか梵貝荘の秘密とかシンプルなやつでよかったと思う。。。

No.3 3点 黒い仏- 殊能将之 2020/08/28 22:55
殊能将之さんの超ファンです。個人的には7点なんですが、普通に考えればどうしても低くせざるを得ない… 理由は超有名なバカミスだからなんです。そのバカミスの中でも栄誉ある”壁本”(読んだあと壁に投げつけたくなる本)なんです。

石動戯作シリーズ第二段の今作。前作『美濃牛』は重厚な本格ミステリーでした。今回もその流れを組んでます。”途  中  ま  で  は”

途中でえっ?っていうシーンが出てきて、そこでもうこの流れはバカミス収束すると想像できます。が、結末はその想像を遥かにぶっとんだトリック。

あ  り  え  な  い !

読んだ人の半分は読了後、壁にこの本を投げつけたい衝動に駆られることでしょう。。。(でも本自体には罪がないから投げないで!) 途中までかなり本格チックに行ってたのに何故こういうことをしてしまうのか!氏の技量なら絶対本格ミステリーのまま終わることもできたはずなのに何故!

答えは殊能将之さんだから。しょうがないんです。。。このバカトリックをするためにあそこまで仏像のこと、時代背景等を研究されたりして誠心誠意、洗礼された文章、構成で持って行って、最後こういうありえないことをしてしまう。。。

個人的にはバカミス大好きなので面白かったんですが、真面目に読んだ人にはかなり衝撃的な梯子外しをしてしまうのでご注意を。あくまでバカミスとわかった上で読んで下さい。歴史に残るバカミスです。

No.2 7点 美濃牛- 殊能将之 2020/08/28 22:39
殊能将之さんのファンなので点数は甘めです!

デビュー作のハサミ男とは違い、本作は横溝正史テイストでじっくり読ませる重厚な作りの本格ミステリー。探偵役の石動戯作が初登場でここからシリーズ化します。

あらすじをざっと書くと、岐阜の山奥で趣味?で養牛業を営み、飛騨牛ブランドを目指すもなかなか認定されなず、猟奇的な見立て殺人に巻き込まれていく一族。飛騨牛になれない美濃地方の牛は美濃牛と揶揄され、この地方の伝承話を見立てて次々に殺人が行われる。。。

どうです?ちょっと読みたくなりません?美濃牛とミノタウルスを掛けてる辺りセンスバツグンだと思います。金田一耕助シリーズをかなり意識した作りになってます。

ここからは個人的感想を。全体的には超面白いんです。ただ、ところどころ残念なところも… かなり長い話なので、冗長で無駄な部分が多々あり、石動戯作がちょっとユルい系のキャラなのでテンポが乱れます。まぁあの緩さが石動戯作の魅力なんですが。最後の結末にほんのちょっとファンタジー(非現実)要素入るのでそこはあまり好きじゃなかったです。あと俳句に興味が無いのでその下りはあまり好きくなかった…

他の書評見てもあまり評価の高い人はいないので残念なんですが、もう少し評価されてもいい作品だと思います。とにかく殊能将之さんはセンスが独特な著者だと思うので是非読んでみてください!

No.1 8点 ハサミ男- 殊能将之 2020/08/28 13:20
殊能将之さん、めちゃくちゃ好きなんです。。。唯一著作を全部読了してる著者なんです。もう氏の新作を読めないと思うと悲しすぎる。。。(ノД`)シクシク

さて、メフィスト賞受賞の氏のデビュー作で出世作でもあり、一番の人気作でもあり、代表作である今作。核心的な内容は書けないので感想をいくつか。

いや、もう素晴らしい。この手の叙述ミステリーの代表格で、必ず名前の上がる作品。もうプロット自体がすばらしい。文章もデビュー作とは思えない文体で、ひたすら読んでて引き込まれます。未読の人はレビューとか絶対見ずに必ず読んでください!!!

ファンなので個人的には10点あげたいんですが、冷静に分析するといくつか構成上の不備も。。。個人的に気になったのは自殺のシーンの繰り返し(自殺方法が毎回違うのだが)が毎回パターンになってて読んでて飽きてくるのと、最後の真相のシーンがちょっとわかりにくいかなぁーと。

既に色んなミステリーを読まれていると、あまり面白さを感じないかもしれません。今作発表時はサイコパス主人公もこの叙述もわりと目新しかったんですが、20年以上も経過した昨今では似たような設定、トリック、プロットは巷に溢れており、必ずどこかで目にしているはずです。しかし、未読の人は是非、殊能将之さんのセンスに触れてください!

あ、あと実写映画化した関係者の皆さん、猛省してください! ヽ(`Д´)ノプンプン

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Kingscorssさん
ひとこと
Kingscrossのつもりでミススペルのままハンドルネームが決まってしまいました… (´・ω・`)ショボーン
ラノベとか恋愛小説は苦手なので、その手の本は評価が辛くなりがちです…

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好きな作家
殊能将之、三津田信三、北森鴻、早坂吝、貫井徳郎、アガサ・クリスティ、エラリー・クイ...
採点傾向
平均点: 6.42点   採点数: 96件
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