皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
Kingscorssさん |
|
---|---|
平均点: 6.42点 | 書評数: 96件 |
No.8 | 5点 | 終りなき夜に生れつく- アガサ・クリスティー | 2020/10/12 14:55 |
---|---|---|---|
なかなか事件が起こらず、最後の方まで淡々と少し変わった身分違いの恋愛話を読んでるだけな感覚に陥ります…
途中から多分○○○○なんだろうなぁと予想していたら、そのままその通りのひねりもないベタな展開で幕を閉じます。しかも最後の方の筆致は結構雑な感じ。 サラッと読めて、それなりなんですが、さすがに高評価をつけるには忍びない本だと思いました。(クリスティー自信は気に入ってる話らしいですが) |
No.7 | 6点 | 春にして君を離れ- アガサ・クリスティー | 2020/10/12 14:49 |
---|---|---|---|
厳密に言えばミステリーではないのだが、ある意味しっかりミステリーしてる。あるいみ心理ホラーか?
なんというか、途中からどんどん主人公の現実との乖離性に怖くなっていき、最後にはしっかり肝を冷やすという構成はさすがクリスティ。男性よりは主に女性が読むと思い当たる節がなくても怖くなる話。ミステリーではないので変にそういうのを期待すると面白くはないかも… イヤミスっていえばイヤミスっぽいかも。 細かい内容は実際読んで肝を冷やす読後感を味わってほしいです。 |
No.6 | 7点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2020/09/07 02:01 |
---|---|---|---|
クリスティー傑作四天王の一角、ABC殺人事件(他は、そして誰もいなくなった、アクロイド殺し、オリエント急行殺人事件)。ミッシング・リンク、見立て殺人の古典なので、当然ミステリーファンなら必読でしょう。
ある日、ポワロに殺人予告状が届き、頭文字がAの場所で頭文字Aの老婆が殺される。そのあとも殺人予告状のあとに頭文字Bの場所で頭文字Bの美女、Cの場所でCの中年紳士が次々に殺されていく… 一体犯人は誰で何の目的で連続殺人を行うのか? 今作はクリスティーの作品の中では少し異色で、エンターテイメント性が他の作品より高いです。その最たる理由は、他作と同じく見えない犯人VSポワロの形式ですが、今作は犯人が最初の殺人が起こる前から挑発的な殺人予告状をポワロ宛に出して実際そのとおり殺人を実行し、その後、ポワロたちをあざ笑うかのように挑戦状的な殺人予告状を次々に送りは凶行に及ぶ、しかもA,B,Cの順で殺さていくという見立て殺人。これだけだとまるで漫画みたいな出来すぎドラマの概要ですが、そこはクリスティー、ちゃんとポワロに唸るような論理的帰結で推理させて意外な犯人を用意しています。 残念なことは嚆矢であるがために、既に後続(エラリー・クイーンにまで!)に死ぬほどこのアイディアを”リスペクト”という名のもとに模倣されまくられており、初読の人でもなんかトリック知ってて楽しめなかったとかありそうなこと… いや、トリック知ってても楽しめるんです… また、他のクリスティー傑作四天王(そして誰もいなくなった、アクロイド殺し、オリエント急行殺人事件)等のトリックよりラストの衝撃度は明らかに少ないです。 なぜなら… (ΦωΦ)フフフ… ABCは我らクリスティー傑作四天王の中でも最弱。四天王の面汚しよ… |
No.5 | 8点 | カーテン ポアロ最後の事件- アガサ・クリスティー | 2020/09/05 16:55 |
---|---|---|---|
クリスティーが亡くなる前年の1975年に出版(執筆自体は1943年)されたポワロ最後の事件として以外はあまり知名度がない本作ですが、紛れもない傑作です!
デビュー作の”スタイルズ荘の怪事件”と同じスタイルズ荘で締めくくるという憎すぎる演出。そしてプロットが何より素晴らしいです。考え抜かれた最終作としての演出と構成が見事というほかありません。 知名度のない理由は、やはりある意味”死と老い”がテーマなので全体的に暗くテンポがゆっくり目なこと、トリックもクリスティーの他の有名どころに比べれば派手さがなく地味(犯行上しかたない)、等だと思いますが、最後のポワロの手記で真相が全てがわかったときは構成の巧さに舌を巻かざるをえません。 さらに今作を満喫するには、先にある程度他のポワロシリーズを読み込む必要があると思います。”スタイルズ荘の怪事件”は特に場所以外はあまり関係してない(一応事件のことが少し話題にはなる)ですが、読んであるとより色々実感できますし、やはり他作を先に読み、ここに至るまでのポワロとヘイスティングズの関係をある程度熟読してあると最後がより感慨深いものになるでしょう。(ABC殺人事件の冒頭ら辺の”この全て左右対称なところ、実に気持ちがいい”とかセリフを知ってるとカーテンでの最後の”フェアプレイ”の意味が分かり、うはーーー!となったり、他にも驚愕の○○○○の件ももしかしてABCからの伏線?とか) ポワロ最後の勇姿と思いやりを心に焼き付け、ポワロシリーズを含めた傑作群を後世に残してくれたアガサ・クリスティーに感謝しかありません! |
No.4 | 6点 | スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー | 2020/09/04 05:40 |
---|---|---|---|
アガサ・クリスティーのデビュー作であり、探偵ポワロ&ヘイスティングス初登場の歴史的作品。後の大傑作群の礎的作品なので、ミステリーファンなら必ず読むべきだと思います。
動機、プロット等、デビュー作としては全体的には質の高い作品だが、ミステリーや謎解き部分はまだ完成度がそれほどでもなく、粗も目立つ。まず、第一章でいきなり登場人物のほぼ全員が出てきて、それが結構な人数なので誰が誰だか覚えるまでかなり大変。名前も覚えにくく、混乱以外の何物でもない。読了するまで何回か登場人物表見直すこと必至。また、犯人候補が最後まで二転三転するが、どうにか読者を欺いてやろうみたいなきらいが全面に出てしまっており、無理な構成が鼻につく。推理の最後のワンピースは、おいおいそれはいくら何でも唐突に出現しすぎでダメだろう…というような証拠で、その証拠が最後まで残っていた理由も結構ありえないもの。(見られたら即バレ、言い逃れ不可な証拠を簡単に処分できるにもかかわらず、ほったらかしで残す犯人とかありえない) 全体的にもテンポが悪く読んでて疲れる部分も。 個人的に残念だったのは、ポワロ初登場作なので、ポワロの名探偵誕生秘話とかヘイスティングスとの初めての出会いや友情を育むまでのことが書かれてあると思ってたら、ポワロシリーズの一つみたいな普通のノリで二人共出てきて、ポワロはすでに名探偵、ヘイスティングスとも既に友人だったのでがっくり来た。 総評としては、デビュー作なのでまだまだ完成度は高くないが、記念すべき作品なのでポワロファンなら必読です!なので、おまけで+1点しました。 |
No.3 | 8点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2020/08/26 16:05 |
---|---|---|---|
言わずとしれたアガサ・クリスティーの傑作中の傑作。
内容に関しては少しも書けないのでただただ読んでとしか言いようがない。 書評的には衝撃的なラストを活かすために淡々とした語り口で事件が進むのであまり面白さを感じにくいのがマイナス。ただ、それはもう仕方がない。あのネタを活かすためなのだから。 今なおフェア、アンフェアの議論が絶えないのは別の視点でいえば名作の証拠。99.9%の作品は世に出て1年以内に語られることはなくなるのですが、この作品は人類が滅ぶまでミステリーファンの間で語られることでしょう。 この空前絶後の結末は一部の人には壁本となるかもしれませんし、昨今ではこのネタをパクったトリックやプロットが溢れているので目新しさを感じない方もいるでしょうが、この手の騙しの原点というべき古典なので是非、是非読んでほしいです。 |
No.2 | 10点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2020/08/26 01:39 |
---|---|---|---|
説明不要の傑作中の傑作。今なお同じ設定や同じトリックがパクられまくり(リスペクトと言う名のもとに)使われまくられる超超有名な作品。古典中の古典。
内容は説明不要。未読の人はとにかく読んでください。この作品含めて、もしアガサ・クリスティーの作品に使われるトリックやプロットにパテントがあるなら世の中のミステリーの半分は特許違反でなくなるんじゃないでしょうか。 もし初読みして、どっかで見たことあるトリック、あの作品やあのドラマと似てるから面白くなかったという人たち、いやいや、全てが二番煎じでパクリですから。 個人的に残念なのが内容ではなくて、人種差別問題のせいで島の名前や人形の名前が何回か変更になってること。最初はニガーでもちろん即アウト。その次はインディアン島、インディアン人形に変更され、これも差別でアウト。現在は兵隊島、兵隊人形になってます。なのでハヤカワ文庫の清水俊二訳をおすすめします。 いや、もう未読の人は必読です。アガサ・クリスティー古典四天王(他はアクロイド殺し、ABC殺人事件、オリエント急行殺人事件)のこれを読まないとミステリーは語れません! |
No.1 | 8点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2020/08/12 13:54 |
---|---|---|---|
大分前に映画で見てトリックやプロットは知っていましたが、初めて原作を拝読。
素晴らしいの一言。映像で端折られたりしたところもじっくり説明されていてとても楽しく読ませてもらいました。ミステリーの古典的教科書の一つなので何年経っても色褪せないです。唯一?映像で見るより劣っている点は登場人物が多いので文字表記だけでは各人をなかなか覚えられないのが… いや、別に把握してなくても全然楽しめますけどね。 クリスティーの有名な著作四天王のオリエント急行の殺人、ABC殺人事件、アクロイド殺し、そして誰もいなくなった、これらをネタ知らずに読める人は幸せすぎます… 自分は全部トリック知ってから原作読んだんですよね…あと50年ほど早く生まれていれば…まぁネタ知ってても面白かったですが。 |